アペキシフィケーションによる根尖閉鎖後の根管充填に関する研究

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  • A Study on Root Canal Obturation after Apical Closing by Apexification

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抄録

根尖がラッパ状に広がった歯根未完成歯にアペキシフィケーションを行い,根尖開放部が閉鎖したことを想定した規格化根管模型を作製した.この模型に8種の充填法(側方加圧充填法,オブチュラII,ウルトラフィル,サーマフィル,システムB,システムBとオブチュラIIの併用充填,セクショナル法,ZOEシーラーのみによる充填(キャナルス充填)により,根管充填を行った.根管壁表面からの観察像と,マイクロフォーカスX線CT装置により撮影した断層像の三次元構築像,さらに根管内に占める充填材の比率(充塞率)を求めることにより,以下の結論を得た.各根管充填法における根管全体の充填材の充塞率は,オブチュラIIが98.1%と最も高く,次いでウルトラフィルが98.0%,セクショナル法が97.8%,側方加圧充填法が97.7%,システムBとオブチュラII併用充填が97.1%,システムBが95.8%,キャナルス充填が93.3%,サーマフィルが最も低く87.1%であった.先端1mm断層面の充填材の充塞率は,ウルトラフィルが93.4%と最も高く,次いでシステムBが90.2%,セクショナル法が90.0%,オブチュラIIが88.8%,キャナルス充填が87.9%,システムB・オブチュラII併用充填が86.5%,側方加圧充填法が72.1%,サーマフィルが最も低く17.8%であった.一元配置分散分析の結果,根管充填法の種類が充塞率に及ぼす影響については,危険率1%で有意であることが認められた.オブチュラII,ウルトラフィル,システムB,システムBとオブチュラII併用充填は,ラッパ状に広がった根管先端部をガッタパーチャで満たすことができたが,セクショナル法はやや充填不足が,側方加圧充填法とサーマフィルでは顕著な充填不足が起きた.キャナルス充填では,硬化物中に,大小さまざまな大きさの気泡が広範に散在していた.加熱や溶媒により軟化したガッタパーチャを根管に満たす充填法は,根管壁からのガッタパーチャの剥離が起こりやすいため,シーラーの併用が必要であった.シーラー中の気泡は,死腔の形成要因になるため,練和や根管壁への塗布時には気泡を混入させない注意が必要であった.以上の結果から,アペキシフィケーションにより根尖が閉鎖したラッパ状の根管においては,シーラーを併用しオブチュラII,ウルトラフィル,システムB,システムBとオブチュラII併用充填によるいずれかの方法により,根管充填法を行うのが望ましいことがわかった.

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参考文献 (43)*注記

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