歯質アパタイトの脱灰で生成されるMDPカルシウム塩の分子種の同定

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  • Determination of Molecular Species of Calcium Salts of MDP Produced in Demineralization of Tooth Apatite

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抄録

<p> 目的 : 10-methacryloyloxydecyl dihydrogen phosphate (MDP) 含有のワンステップボンディング材 (G-Bond Plus) は, その簡略化された操作手順と安定的で高い歯質接着性を示すことから, 広く臨床使用されている. この研究の目的は, MDP含有ワンステップボンディング材により生成されるMDPカルシウム塩の分子種のタイプを決定し, MDPカルシウム塩のメカニズムを解明することである.</p><p> 材料と方法 : G-Bond Plus 1.000g中に切削したウシ前歯歯冠エナメル質または象牙質粉末0.200gをそれぞれ1, 30, 60分間振盪・攪拌した. その後, 懸濁液を遠心分離し, ボンディング材の反応残渣の31P NMRスペクトルを, EX 270スペクトロメーターを用いて測定した. エナメル質および象牙質反応物をリン-31核磁気共鳴 (31P NMR) スペクトル法およびX線回折技術を用いて分析した後, エナメル質および象牙質反応物の31P NMRスペクトルについて曲線適合分析を行った. 31P NMRスペクトルの曲線適合分析は, MDPカルシウム塩の合成モデル化合物から, いくつかのタイプのMDPカルシウム塩と, 非結晶リン酸二カルシウム二水和物が生成されたと仮定することで実行した.</p><p> 結果 : G-Bond Plusのエナメル質および象牙質反応物を曲線適合分析した結果, 脱灰エナメル質および象牙質中に, 数種類のMDPカルシウム塩および非結晶な第二リン酸カルシウムが生成していることが明らかになった. エナメル質および象牙質により生成されたMDPカルシウム塩と第二リン酸カルシウムの量は反応時間で異なり, エナメル質および象牙質によって生成されたMDPカルシウム塩の分子種は, MDP単量体モノマー, MDP二量体のモノカルシウム塩, MDP単量体およびMDP二量体のジカルシウム塩であった.</p><p> 結論 : エナメル質および象牙質によって生成されたMDPカルシウム塩の分子種は, MDP単量体モノマー, MDP二量体のモノカルシウム塩, MDP単量体およびMDP二量体のジカルシウム塩の4種類であった.</p>

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