筋ジストロフィー患者におけるフォースセンサーの適応について

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【目的】重症化する筋ジス患者において、姿勢保持能力・手指機能の問題からジョイスティックレバー(J/S)での電動車椅子操作が困難になり、床上や介助型車椅子上での生活を余儀なくされている患者が増えてきている。今回微小な力でも操作可能なフォースセンサー(株式会社 今仙技術研究所)を使用し電動車椅子操作を行うようになった症例を紹介し、その適応について検討することを目的とした。<BR> 【症例】症例1:36歳、男性、DMD、Stage8-a、上肢Stage9不可。33歳までJ/S操作で電動車椅子に乗車。その後操作が困難になり2年間電動車椅子操作を行っていない。35歳からフォースセンサーに変更し操作が可能となった。手指機能の障害が強くチンコントローラーにて操作を行っている。症例2:33歳、男性、SMA3型、Stage8-a、上肢Stage9不可。29歳までJ/S操作にて電動車椅子に乗車していたが操作困難になり、2年間電動車椅子操作を行っていなかった。31歳からフォースセンサー使用し操作が可能となった。手指の拘縮と筋力低下のため、先端にスプリント材を使用し示指にて操作を行っている。症例3:29歳、男性、DMD、Stage8-a、上肢Stage9不可。前傾座位で体幹の代償を利用したJ/S操作は可能であったが、疲労により持続的な姿勢維持が困難になった。バックレストへの寄りかかり座位でも操作可能にするためフォースセンサーを使用した。症例4:26歳、男性、DMD、Stage7、上肢Stage6。現在J/S操作が実用的に可能だが、操作しづらいと感じる様になってきた。電動車椅子の新規作製にあたり障害の進行を考えフォースセンサーを使用した。<BR> 【考察】どの症例も実用的な電動車椅子操作が可能になった。その理由としてJ/Sは傾きで反応し0.3~7Nの力が必要であるが、フォースセンサーは圧で反応するため最小0・05Nの力で操作できる。今回の症例から導入時期として、寄りかかり坐位で車椅子操作を希望する時期や、4方向傾けるだけの力を得るのが難しくなった時期が適応と考える。姿勢の安定・脊柱変形の予防という観点からは、上肢・体幹の代償動作が出始めた時期から導入するのが適当と考える。しかし廃用性の上肢機能低下の危惧も考えられ、今後検討が必要である。<BR> 【結論】重症化しJ/Sでは電動車椅子操作が困難になった筋ジス患者でも,フォースセンサーにより操作可能になった症例を中心に紹介した。今後の検討課題としてフォースセンサーの導入時期や、それを決定するための細かい手指機能の評価・分類、坐位姿勢の評価が必要と考えた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680500093056
  • NII論文ID
    130006947813
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.26.0.32.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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