視神経脊髄炎(NMO)の治療をめぐって

  • Fujihara Kazuo
    東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学寄附講座

Description

視神経脊髄炎(NMO)は、この疾患に特異なアクアポリン4(AQP4)抗体の発見以後、その臨床像は単なる視神経脊髄炎よりも広く、AQP4抗体が病原性を持ち、免疫介在性アストロサイトパチーであることがわかってきた。NMOは重篤な神経障害を起こしうるので、早期の診断と治療が必要である。NMOの急性増悪期にはステロイドパルス療法が無効の場合は速やかに血漿交換療法を行うことでしばしば改善が期待できる。またステロイドパルス療法も早期に行えば神経障害を抑制できることが視神経炎のOCT解析で明らかになった。NMOの再発予防には免疫抑制療法が有効であり、ステロイドの有効な投与法が解明されてきた。また様々な免疫抑制剤と共に、抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)の有効性が報告されている。最近NMOの再発やAQP4抗体産生へのIL-6の関与が報告され、抗IL-6療法への期待も大きい。さらに実験的研究では、IgG1に属するAQP4抗体は補体を活性化しAQP4をendfeetに高密度に発現しているアストロサイトを破壊するが、抗C5a抗体(エクリズマブ)の有効性が示されつつある。また自己造血幹細胞移植やAQP4抗体の抗原結合阻害物質の開発なども行われている。免疫治療のみならず神経後遺症への対症療法の重要性も認識されてきた。本講演では、NMOの病態解析における最新の知見を紹介し治療の現状と課題を論じたい。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680500094464
  • NII Article ID
    130006947816
  • DOI
    10.14906/jscisho.39.0.8.0
  • ISSN
    18803296
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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