ヒト間葉系幹細胞による破骨細胞分化抑制作用の解析

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抄録

【背景】関節滑膜の慢性炎症を特徴とする全身性自己免疫疾患である関節リウマチ(RA)において進行する関節破壊の阻止、さらには修復を目指した次世代RA治療法の開発が急務である。間葉系幹細胞(MSC)は、多様な可溶性因子産生能に由来する強力な免疫作用を有し、骨芽細胞・軟骨細胞に分化誘導可能であることから、炎症制御と骨再生を可能にする有用なツールとして期待されている。【目的】MSCによる骨吸収活性に対する影響を評価するために破骨細胞分化および機能に対するMSCの作用を解明する。【方法】M-CSFおよびRANKLを用いて破骨細胞分化誘導刺激を加えた末梢血由来ヒトCD14陽性細胞とヒトMSCを非接触条件下で共培養した場合の破骨細胞分化および骨吸収活性発現に対する作用を評価した。【結果】末梢血由来CD14陽性細胞から破骨細胞への分化、骨吸収活性の発現は、MSCの添加により濃度依存性に、また、非接触下において、細胞死を誘導することなく著明に抑制された。同様の破骨細胞抑制活性は、MSC培養上清の添加によっても再現された。一方、MSCはosteoprotegerin(OPG)を高度に産生した。MSCとの共培養により抑制された破骨細胞の分化・活性化は、OPG中和抗体の添加あるいはOPG siRNAの導入により一部回復した。【考察】MSCは既知の免疫抑制作用だけでなく破骨細胞分化抑制を有することから、炎症制御および骨再生を目標とした新規RA治療に有用性が高いと考えられた。しかし、我々の結果はOPG以外の可溶性因子が破骨細胞分化抑制に関与していることを示唆しており、炎症局所での治療効果を考慮する際に炎症性サイトカインを介した破骨細胞分化への影響を明らかにする必要がある。

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詳細情報

  • CRID
    1390282680500121856
  • NII論文ID
    130006947860
  • DOI
    10.14906/jscisho.39.0.56.0
  • ISSN
    18803296
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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