コクシジオイデス症原因菌<i>Coccidioides immitis</i>および<i>Coccidioides posadasii</i>の同定および分類:新しいアプローチによる遺伝子診断用プライマーの開発

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  • PCR amplification for identification and distinction of the human pathogenic fungi <i>Coccidioides immitis</i> and <i>Coccidioides posadasii</i>; a novel approach to novel design to primer design.

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抄録

【背景と目的】コクシジオイデス症は感染症法第四類感染症全数把握疾患に規定された唯一の真菌症である。Coccidioides属は感染力が強いため健常者でも感染する例が多く、検査中の感染事故が起こりやすい。本研究は、コクシジオイデス属真菌を特異的に検出するPCR法プライマーの開発を目的として行った。【方法と結果】まず、C. immitisのゲノム配列より、PCRで増幅する領域をランダムに選別した。その領域を増幅するための20 merのプライマーを設計し、実際にC. immitisのゲノムDNAに対してDNA増幅を行った。増幅可能であったプライマーセットのうち、Coccidioides属以外の真菌とは反応しない組み合わせを選出した。この操作を繰り返すことにより、最も高い特異性を示すプライマーセットCoi9-1を選別した。プライマーセットCoi9-1を用いたPCR検出系により、19株のCoccidioides属より増幅可能であった。また、52種137株のCoccidioides属以外の病原真菌とは反応しなかった。予想外にも、5株のC. immitis由来のDNAより720 bp、14株のC. posadasii由来のDNAより630 bpのDNA断片を増幅することが示されたことから、PCR検出法によりアガロースゲル電気泳動による解析のみで2菌種の識別が可能になった。【考察】本研究により開発したプライマーセットにより、真菌培養を介さない簡便かつ迅速なコクシジオイデス症診断が臨床現場で可能となり、検査室事故の危険性を軽減させることが出来る。また、疫学研究にも高い価値を見出せると考えている。

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