卒後教育としてのAdvance OSCE の試み
書誌事項
- タイトル別名
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- ―経験4年目対象OSCE―
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説明
【目的】筑波記念病院(以下,当院)では,卒後教育の充実を図るため,入職後2ヶ月間の初期研修終了後,中期研修と称して6ヶ月もしくは3ヶ月で診療チーム(急性期:整形・中枢・内科・外科,回復期,療養,外来,介護老人保健施設)をローテートするジョブローテーション方式を採用している.今回,ジョブローテション修了を迎えた臨床経験4年目を対象に,急性期から維持期の症例を対象課題としたAdvance OSCE(OSCE:Objective Structured Clinical Examination)を実施し,臨床能力の確認を行った.<BR>【対象】当院臨床経験3年6ヶ月の理学療法士(以下,PT),作業療法士,言語聴覚士19名中PT13名(男性:7名,女性:6名)とした.<BR>【方法】2007年11月の1日間にOSCE課題5題を実施した.課題は(1)急性期脳卒中疾患(2)急性期内部疾患(3)回復期脳血管疾患(4)維持期神経難病(5)筆記試験とし,当日まで対象者には開示しなかった.OSCEの評価は,院内職員による評価者と標準患者に加え,外部評価者による評価も実施した.(1)から(4)までの課題設定時間は,情報収集5分,実技(評価・治療)17分,口頭試問5分,フィードバック5分とした.(5)の筆記試験は,医療制度,院内組織,リスク管理等に関する内容とし,記述時間15分,フィードバック15分とした.統計学的検討には,OSCE課題評価素点数を100点満点換算した点数を採用し,Mann-WhitneyのU検定,Spearmanの順位相関を用いて2群間を比較した.<BR>【結果】各課題別得点は,院内評価者,外部評価者の順で(1)64.8±8.9点,59.4±12.1点(2)58.5±11.5点,55.8±13.6点(3)57.8±13.0点,46.0±13.8点(4)62.8±10.6点,63.0±11.5点となり,(1)から(4)の課題すべてにおいて外部評価者の方が院内評価者に比べ低評価である傾向を示した.全ての診療チームのジョブローテーションを終了した9名と未修了である4名のOSCE4課題の合計平均得点は,修了者68.0±6.5点,未修了者58.5±4.3点であり,修了者の方が有意に高評価であった(p<0.05).また,OSCE4課題の合計点と筆記試験得点の間には中等度の有意な正の相関を認めた(r=0.6,p<0.05).<BR>【考察】卒後数年間に急性期から維持期の診療を経験することが,外部評価者の批判にも耐えうる臨床技能向上に有益であること,臨床技能の高い方が医療制度や組織に対する関心が高いことが示唆された.
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 27 (0), 37-37, 2008
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680500502272
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- NII論文ID
- 130006948055
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可