日本におけるミクリッツ病患者の疫学調査

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抄録

目的:ミクリッツ病およびIgG4関連疾患は、稀発性である(疾患に対する無知にも起因している)ため、その病態生理の解明や治療法の検討には症例の集積が必要である。また行政施策としてはさまざまな対策を行う場合、現在のミクリッツ病の診療に関する実態や将来予測はきわめて重要となる。その中でも、数の捕捉、すなわち罹患率や有病率などの把握は最も基本的な事項である。そのためミクリッツ病における疫学的検討を全国的に行った。 方法:この全国疫学調査は、患者数推計のための一次調査と、臨床疫学像を把握するための二次調査から構成し、一次調査は病床数200以上のきわめて多数の医療機関に対して行い、回収率を高めるために男女別の患者数の報告のみの容易に回答できるものとした。二次調査では個々の患者の人口学的事項、臨床的事項を調査し、患者の性別、発症および診断時の年月日など、ほとんどの疾患に共通な項目と、症状、診断、治療など疾患に固有の項目を設定した。 結果:患者は全国に分布し、40~50代に好発し、性差はないこと等が判明した。また北海道に有意に多くの患者が存在していた。 結論:疫学調査よりミクリッツ病の概念が普及不足により、ミクリッツ病の診断が確実にされていない可能性がある。今後、疾患概念の普及が必要であり、病態解明、診断および治療法を確立するための研究が必須であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680500537856
  • NII論文ID
    130006948094
  • DOI
    10.14906/jscisho.39.0.146.0
  • ISSN
    18803296
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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