病原性放線菌<I>Nocardia farcinica</I>におけるアミカシン高度耐性化遺伝子の単離と解析

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説明

病原性放線菌Nocardia farcinicaは、Nocardia属細菌の中で最も臨床分離例が多く、また多剤耐性を示す。近年、カナダの複数の地域において流行した乳牛の乳房炎の原因菌としてN. farcinicaが分離され、その分離株(N. farcinica IFM10580)が、通常ノカルジア属細菌が感受性を示すアミノグリコシド(AG)系薬のアミカシン(Amk)を含む2-deoxystreptamine系AGに対して高度耐性をもつことが示された。Amk耐性N. farcinicaのゲノムライブラリーを用いたスクリーニングを行った結果、N. farcinicaにAmk耐性化をもたらす遺伝子として変異型16S rRNA遺伝子が特定された。Amk耐性株の染色体上に3コピー存在する16S rRNA遺伝子はすべて、アミノアシルtRNA結合領域(Aサイト)に存在する保存された塩基であるアデニンがグアニンに変異していたことから、Amk耐性株ではリボソームとAGの結合親和性が弱まった結果、AGへの高度耐性化が起こっていると考えられた。また、変異型16S rRNA遺伝子によるAG高度耐性化は劣性の表現型であったが、変異型rRNA遺伝子をマルチコピープラスミドにより導入した野生型株を高濃度AG存在下で生育させた場合、染色体上の野生型16S rRNA遺伝子が変異型遺伝子へ高頻度に変換することが示されたことから、amk耐性化に16S rRNA遺伝子間のgene conversionが関与することが推察された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680500728960
  • NII論文ID
    130006948306
  • DOI
    10.11534/jsmm.51.0.31.0
  • ISSN
    09164804
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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