希な真菌症原因菌を含む<I>Graphium</I>属菌のチトクローム<I>b</I>遺伝子解析

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抄録

Graphium属菌は,不完全菌門に属し,分生子柄束を形成し褐色の分生子柄の頂上に1細胞性で無色のアネロ型分生子を着生する.希に眼内炎の原因菌として分離されることがある. Scedosporium apiospermum は,G. eumorphum とシノニムであるが,菌糸先端あるいは側壁から細い小分枝が分生子柄として生じ,その先にアレウロ型の1細胞性の淡褐色から褐色の分生子を生ずる.Pseudallescheria boydii は,S. apiospermum のテレオモルフであり,土壌真菌として広く分布しているが,日和見感染として足菌腫,内臓真菌症,角膜真菌症の原因菌となりうる.従って,Graphium属菌の同定,分類のためにチトクローム遺伝子の解析を行った. 材料と方法:当センター保存株,JCM株及びCBSより購入したGraphium属菌と関連菌のチトクローム遺伝子を当遺伝子増幅用共通プライマーを用いてPCRにより増幅し,ダイターミネーター法により塩基配列を解析した. 結果と考察:G. eumorphumP. boydii のtype strainと2塩基違い,CBS 695.70株と一致した.Graphium属菌は,チトクローム遺伝子解析からも子嚢菌に属するが,単系統は示さなかった.分析した26株14種は,5系統を示し,系統分類の面から再考が必要である.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680500921344
  • NII論文ID
    130006948401
  • DOI
    10.11534/jsmm.51.0.60.0
  • ISSN
    09164804
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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