アンケートによる大学生の鞄の使用状況調査

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抄録

【目的】鞄の携帯方法と姿勢の関係について、これまでにもさまざまな報告が行われている。木岡らは、児童のランドセルによる学習用具携行では、携行重量体重比が極めて大きいと報告している。また臼谷らは、生理衛生学的に中学生の通学用鞄はリュックサックを携行すべきであると述べている。しかし、大学生を対象とした鞄の使用状況についての検討は十分に行われていない。そこで本研究の目的は、鞄の携帯方法が大学生の姿勢に与える影響を検討するための基礎情報として、大学生の鞄の使用状況を調査することとした。【方法】対象は、本学の理学療法学科2・3年生(2008年時)の学生125名の内、回答した120名(回答率96%)とした。調査の方法は、自記式の集合調査とした。アンケートの内容は、「身体属性」、「荷物を含めた鞄の重量」、「普段どのような鞄を使用しているか」、「どのように携帯しているか」、「携帯方法の習慣化の有無」、「1日のうち、鞄を携帯する時間」、「鞄を使用することによる身体への影響」とした。荷物の重さは、アンケート実施時にオムロン社製体重体組成計(カラダスキャン)を用いて計測した。【結果】対象者の平均年齢は19.9歳、平均身長166.2cm、平均体重59.9kgあった。学生の使用している鞄の種類は、ショルダーバッグが46%と最も多く、つづいてトートバック、ボストンバックの順であった。その使用頻度は、週5日以上が88%と、ほとんどの学生が通学時に同じ鞄を使用していた。鞄の携帯方法の習慣化については、93%の学生がその携帯方法が習慣付いており、肩で荷物を指示するという携帯方法が最も多かった。そして、アンケート調査時に測定した、荷物を含めた鞄の重さの平均値は、4.66kgであった。身体への影響については、痛み・重い・疲れる・苦しい・なしの順でみると、携帯時間は69.5時間・65.7時間・67.7時間・113.9時間・57.7時間、通学所要時間は50.2時間・54.7時間・53.3時間・38.6時間・25.4時間、鞄の重量は5.2kg・4.8kg・4.8kg・4.5kg・3.4kgであった。何らかの身体症状の訴えのあった割合は、ショルダーバッグ斜めかけで116件/45人(258%)、ショルダーバック片側で19件/11人(172%)、トートなどの手持ちで111件/54人(206%)、リュックなどの背負うもので20件/10人(200%)であった。【考察】今回の結果から、大学生は毎日非常に重い鞄を携帯して通学しており、通学時間、鞄の重さが身体へ大きな負担となっていることが確認された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680501242112
  • NII論文ID
    130004572514
  • DOI
    10.14911/biophilia.2010.0.33.0
  • ISSN
    18848699
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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