社会保障制度の来し方、行く末について

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抄録

<p>仏教思想を背景として1,000年ほど前から救貧対策を主体とした部分的な厚生事業が展開されてきたが、国の制度として整備されるためには明治政府の発足を待たなければならなかった。それは、軍人や公務員に対する年金や貧窮対策の拡充、また一部財閥企業による退職者支援という形であり、まだ限定的なものにとどまっていた。第二次世界大戦後、新たな法制度の下で日本が求めた近代国家の姿については、特に、医療、年金、困窮者対策、関連支援という基本的な社会保障要素への志向を目指したものの、まだ完ぺきとは言えないものであった。1960年代に入り、念願であった国民皆年金、皆健康保険等の導入によりようやく我が国の社会保障制度の外形が整うこととなった。とは言いつつも、一般国民の間では老後のために自ら蓄えるという意識は当面続いた。</p><p>その後、経済情勢や人口問題などにより、社会保障制度の改革や拡充が逐次行われるとともに、行政組織の改革が行われたが、常に新しい問題に直面すとることとなった。これは、膨大な社会保障財政(ストック)とそれを運用する関係行政機関、さまざまな民間事業者・専門職と制度の受益者などがさまざま目的や意識・無意識のもとに参画しており、問題解決や制御が困難になりつつあることが背景にあると考えられる。本稿では、日本の社会保障制度について概観するとともに、現在の問題やこれからの課題を概略示したい。 すでに、社会保障政策に関する資料、データ、論文は多数あり、またこの分野は細かく分化され、関係者は多岐にわたるが、ここでは次の主要な項目についてあらあら紹介するに留める。</p><p>社会保障政策の大まかな変遷</p><p>人口ピラミッドの変化と影響</p><p>社会保障財政収支について</p><p>トピックス:年金基金の活用状況</p><p>これからの課題</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680501368576
  • NII論文ID
    130005845923
  • DOI
    10.14911/biophilia.2016.0_24
  • ISSN
    18848699
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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