<I>Curvularia</I> sp. (KMU4944)の角質および植物に対する感染性の検討および自然界からの同菌の分離の試み

DOI
  • 柳原 誠
    真生会富山病院皮膚科
  • 河崎 昌子
    金沢医科大学環境皮膚科学 金沢医科大学総医研皮膚真菌学研究部門(ノバルテイスファーマ)
  • 石崎 宏
    金沢医科大学総医研皮膚真菌学研究部門(ノバルテイスファーマ)
  • 望月 隆
    金沢医科大学環境皮膚科学 金沢医科大学総医研皮膚真菌学研究部門(ノバルテイスファーマ)
  • 宇田川 俊一
    日本食品分析センター
  • 安澤 数史
    金沢医科大学総医研皮膚真菌学研究部門(ノバルテイスファーマ)
  • 佐藤 幸生
    富山県立大学 教養教育 生物学
  • 花川 博義
    真生会富山病院皮膚科
  • 刀川 信幸
    真生会富山病院皮膚科

抄録

【目的】先に趾間に生じた褐色皮疹より分離した Curvularia sp.(KMU4944)について報告した。しかし、同菌がなぜヒト皮膚表面に感染したのか不明のままであった。今回は同菌のヒト角質および植物に対する感染性について検討すると共に,自然界からの同菌の分離を試みた。【方法】実験1:ヒト角質(白髪、爪、胼胝)およびイネ科植物の葉を材料とし、滅菌消毒後、素寒天培地に上に環状に並べ、その中央にKMU4944を置床し培養した。生育の有無を光顕および電顕(SEM)的に検討した。実験2:イネ科の植物をパラコートで前処理し、3-5日後,枯れた葉を津田の方法を用いC. sp.の分離を試みた。【結果】実験1:KMU4944は白髪、爪および胼胝の角質および植物の葉の表面に白い長い分生子柄を放射状に伸ばし、その上に黒褐色の分生子をつけた。電顕的には毛髪クチクラ細胞間から分生子柄がのびその先端に分生子を形成していた。実験2:イネの“ひこばえ”からC. lunata (KMU2685=AF071339)が分離できた。この菌の分生子の表面は粗造で、角質での生育を認めた。【結論】KMU4944はin vitroで植物の葉のみならず、ヒト角質で成長することが明らかになった。C. sp.は皮膚表面に感染することはごく稀であるが、条件が揃えばヒト角質に感染する能力のある菌であることが明らかとなった。自然界からのKMU4944の分離はまだ成功していない。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680501474432
  • NII論文ID
    130006948943
  • DOI
    10.11534/jsmm.52.0.99.0
  • ISSN
    09164804
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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