IRAK4欠損症における反復性肺炎球菌感染症

Description

Toll-like receptor(TLR)は、自然免疫の中で重要な位置を占めている。TLRが種々の病原体の構成成分を認識し、アダプター分子を介してシグナルが伝達され、NFKBの活性化がおこる。Interleukin-1 receptor associated kinase (IRAK) 4は、IRAK1のhomologueとして同定され、2002年にそのノックアウトマウスが発表された。2003年にはヒトにおけるIRAK4欠損症が報告された。我々が同定した症例を含めて28名18家系の解析の結果、IRAK4欠損症患者の79%が重症肺炎球菌感染症に罹患し、その59%に重症肺炎球菌感染症の再発が見られ、患者の25%が重症ブドウ球菌感染症を起こしている。また、IRAK4欠損症患者の43%が感染症で死亡している。易感染性は乳幼児期に著しく、その後次第に軽減する。我々はLPS刺激による細胞内サイトカイン産生能を検討することで、この疾患がスクリーニングできることを明らかにした。国内のIRAK4欠損症は3家系(5名)あり、いずれも肺炎球菌性髄膜炎を繰り返した事からIRAK4欠損症が疑われた。その内の2家系は167_172insAのhomozygoteであり、別の一家系は167_172insAとc.547C→Tのcompound heterozygoteであった。我が国では167_172insAの頻度が高いと考えられる。2例は、肺炎球菌性髄膜炎で死亡しているが、それ以外の3名は、診断後にガンマグロブリン投与、肺炎球菌ワクチン(7価及び23価)の接種、発熱早期からの抗生剤静注など、適切な管理のもとで生存している。化膿性髄膜炎や敗血症、関節炎などの重症肺炎球菌感染症を繰り返す場合にはIRAK4欠損症を考慮し、これらの方法や遺伝子解析によって早期に診断する必要がある。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680502176768
  • NII Article ID
    130006949768
  • DOI
    10.14906/jscisho.37.0.58.0
  • ISSN
    18803296
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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