抗二本鎖DNA抗体の病原性と新たな評価法

  • 花岡 洋成
    慶應義塾大学 医学部 内科学教室 リウマチ内科

説明

抗二本鎖DNA(dsDNA)抗体は全身性エリテマトーデス(SLE)患者の約70%に検出される疾患標識抗体で、ループス腎炎の発症、末期腎病変への移行との関連が知られている。また、高親和性の抗dsDNA抗体はSLEの疾患活動性を反映し、病的モデルにおいてその病原性が示されている。抗dsDNA抗体が病原性を発揮する機序として、陽性に帯電したヌクレオソーム-抗dsDNA抗体複合体の陰性に帯電した糸球体基底膜への結合や、抗dsDNA抗体と糸球体αアクチニンとの交差反応を介してループス腎炎が惹起されることが報告されているが、いまだ不明な点が多い。このような病原性を有する抗dsDNA抗体の正確な測定は診断および疾患活動性の評価にきわめて有用である。しかし、その測定においてdsDNAに強固に結合するヒストンなどの蛋白成分や一本鎖DNA(ssDNA)の混入、固相化によるdsDNAの変性が問題となる。dsDNAのみを持つCrithidia luciliaeを用いた免疫蛍光抗体法は特異性の面で優れているが、定量性が困難である。そのため、RadioimmunoassayとELISAが広く用いられているが、病原性の低い抗dsDNA抗体を捉えてしまう欠点がある。<BR> そこで、我々は末梢血中に存在するIgG抗dsDNA抗体を産生する細胞(B細胞、形質細胞)を検出するアッセイ法を考案した。その結果、末梢血抗dsDNA抗体産生細胞数は感度は低いもののELISAによる抗dsDNA抗体価よりも正確に疾患活動性を反映し、SLEの疾患活動性の評価に有用な新たなマーカーとなることを見出した。また、活動期SLEで末梢血中に抗dsDNA抗体産生細胞が動員される機序の追究はSLE病態の解析や新たな治療の開発にも有用と考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680502218880
  • NII論文ID
    130006949806
  • DOI
    10.14906/jscisho.37.0.37.0
  • ISSN
    18803296
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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