IgG4関連ミクリッツ病の分子生物学的解析およびシェーグレン症候群との比較

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抄録

【目的】ミクリッツ病は涙腺・唾液腺腫脹を呈し、腺組織中へのIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする疾患である。ミクリッツ病は、シェーグレン症候群と異なりステロイド治療により、腺腫脹が速やかに消退するのみならず、腺分泌能の改善が認められることからシェーグレン症候群を区別し、ミクリッツ病の病態を明らかにし、速やかに診断・治療することで患者の予後の改善およびQOLの回復を図ることが可能であると考え、DNAチップを使用し、ミクリッツ病患者の治療前後のリンパ球における遺伝子発現解析を行ない、シェーグレン症候群患者における発現と比較した。 【方法】2008年の日本シェーグレン症候群研究会にて作成された、IgG4関連ミクリッツ病診断基準2)を満たす3例を対象とし、治療前後のリンパ球から抽出したRNAをもちい、DNA array解析をおこなった。 【結果】治療後に発現が低下する4つの遺伝子を同定した。これら4つの遺伝子は炎症性サイトカイン関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子であった。さらにシェーグレン症候群患者における、これら遺伝子の発現をリアルタイムPCR、 ELISA等を用いて比較した。 【結論】IgG4関連ミクリッツ病の病態、およびステロイド治療の標的として、炎症性サイトカイン関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子が関与している可能性が示唆され、シェーグレン症候群との異同の根拠となるものと考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680502242176
  • NII論文ID
    130006949817
  • DOI
    10.14906/jscisho.37.0.182.0
  • ISSN
    18803296
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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