骨盤骨折患者に対する骨接合術後の早期荷重歩行と荷重痛の評価の試み~垂直不安定性を有する仙骨骨折症例の検討~

  • 深田 和浩
    埼玉医科大学国際医療センター リハビリテーションセンター
  • 秦 和文
    埼玉医科大学国際医療センター リハビリテーションセンター
  • 鳥尾 哲矢
    埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科
  • 門叶 由美
    埼玉医科大学国際医療センター リハビリテーションセンター
  • 白川 哲也
    埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科
  • 河野 義彦
    埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科
  • 織田 徹也
    埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科
  • 織田 弘美
    埼玉医科大学病院 整形外科
  • 牧田 茂
    埼玉医科大学国際医療センター 心臓リハビリテーション科

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【目的】<BR>骨盤骨折は高エネルギー外傷によって生じ、荷重伝達部位である仙骨・腸骨・仙腸関節から成る後方骨盤輪の垂直不安定性は骨接合術の積極的な適応となる。当院では仙骨骨折症例に対し骨接合術後、早期荷重歩行練習を施行している。一般に、早期荷重の弊害として荷重痛があげられるが、仙骨骨折症例に関する疼痛の評価や荷重痛の経過についての報告はない。今回、VAS(Visual Analog Scale)を用いた骨盤前方及び後方の荷重痛を評価し、良好な経過をたどった症例を経験したので報告する。尚、対象者には研究の旨を説明し発表に際し同意を得ている。<BR>【症例紹介と理学療法経過】<BR>症例1(男性、31歳)診断:右仙骨骨折(AO分類C1、Denis分類Zone1)、合併損傷:頸髄損傷(C5)、頸椎骨折。交通外傷。入院2日後に頸椎骨折に対し後方固定、右仙骨骨折に対しscrew固定を施行。術後第1病日に理学療法を開始。同日離床。第2病日に立位荷重練習を施行。VAS(右):前方0後方4。第16病日に片松葉にて自宅退院。VAS:前方0後方1。第24病日に独歩獲得。VAS:前方0後方0。症例2(男性、43歳)診断:左仙骨骨折(AO分類C1、Denis分類Zone2)、合併損傷:恥骨結合解離。転落外傷。入院当日IVR施行の上、左仙骨骨折に対し創外固定器を設置。入院2日後に左仙骨骨折に対しscrew固定、恥骨結合解離に対しプレート固定を施行。術後第1病日に理学療法を開始。同日離床及び立位荷重練習を施行。VAS(左):前方5後方5。第11病日に片松葉にて自宅退院。VAS:前方0後方1。第18病日に独歩獲得。VAS:前方0後方0。症例3(女性、61歳)診断:両側仙骨骨折(AO分類C2、Denis分類Zone2)、合併損傷:右鎖骨骨折、両側恥骨坐骨骨折、多発肋骨骨折、多発左腰椎横突起骨折。交通外傷。入院当日IVR施行の上、両側仙骨骨折に対し創外固定器を設置。入院16日後に両側仙骨骨折に対し、脊椎骨盤後方固定を施行。術後1病日に理学療法を開始。同日離床。第2病日に立位荷重練習を施行。VAS(右/左):前方5後方0/前方0後方0。第16病日にt-caneにて自宅退院。VAS:前方1後方0/前方0後方0。第57病日に独歩獲得。VAS:前方0後方0/前方0後方0。<BR>【考察】<BR>本症例らは垂直不安定性を有する仙骨骨折と診断され、術後早期からVASを用いた骨盤前方及び後方の荷重痛を評価し、荷重歩行を施行した。一般的に、荷重伝達部位は後方骨盤輪を通るとされているが、高エネルギー外傷に伴って起こる骨盤骨折では恥骨・坐骨骨折の合併も多い。そこで当院ではVASを骨盤前方と後方とに分けて評価している。本症例らはVASを用いた骨盤後方の疼痛に留意した早期荷重歩行練習を実施することで疼痛の増強や転位もなく、早期自宅退院及び独歩獲得に至ったと考える。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680502812800
  • NII Article ID
    130005451504
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.31.0_190
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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