片麻痺の弛緩麻痺下肢への荷重による筋電図評価について

  • 岡田 公男
    東京都立多摩総合医療センター リハビリテーション科
  • 草野 勝
    東京都立多摩総合医療センター リハビリテーション科
  • 金指 美和
    東京都立多摩総合医療センター リハビリテーション科
  • 小宮山 恵子
    東京都立多摩総合医療センター リハビリテーション科
  • 鈴木 知子
    東京都立多摩総合医療センター リハビリテーション科
  • 高橋 梢
    東京都立多摩総合医療センター リハビリテーション科
  • 隠明寺 眞理
    東京都立神経病院 リハビリテーション科
  • 関口 政男
    多摩北部医療センター リハビリテーション科
  • 佐藤 和強 (MD)
    東京都立多摩総合医療センター リハビリテーション科

Description

【はじめに】〈BS〉 当院では、脳血管障害の患者に対し発症早期から理学療法士が介入しており、その関わりが離床の早期化を促しADL拡大に効果を上げている。弛緩性麻痺患者の立位練習中に、大腿四頭筋とハムストリングスの同時性収縮を触知する事がしばしばある。しかし、「弛緩性麻痺下肢が実際に筋収縮をしているのか」と「本当に同時収縮をしているか」という点については疑問であった。〈BS〉今回、弛緩筋の収縮について筋電図検査による評価をすることができた。そして、有意義な結果を得たので報告する。〈BS〉【方法】〈BS〉筋電計は日本メディックス製のオートムーブAM800、表面電極を使用した。〈BS〉患者は左大脳半球に散在する脳梗塞を発症した72歳の男性であった。理学療法初回評価は右弛緩性片麻痺、知覚重度鈍麻、失語症重度の状態であった。心原性のため離床が遅れ、車椅子乗車は発症後8日目、介助歩行は発症後9日目より開始した。〈BS〉筋電図評価1回目は発症後23日目、回復状態は右下肢のBRS1、起立介助、立位保持は手すりを使用し可能な状態であった。〈BS〉筋電図評価2回目は発症後30日目、右下肢のBRS1、起立は手すりを使用し可能、平行棒介助歩行の状態であった。〈BS〉筋電図評価は麻痺側下肢と非麻痺側下肢の膝・足関節の筋群に対して、臥位での随意運動と、起立・歩行時について実施した。〈BS〉尚、当院の倫理委員会規定に従い説明し同意を得た。〈BS〉【結果】〈BS〉1. 麻痺側下肢は各動作で次のような結果であった。〈BS〉 ・臥位で随意運動を促した時は各筋肉で筋電位は10μV以下であった。〈BS〉・介助にて起立をした時、起立初期に筋電位が高く、外側広筋400μV、外側ハムストリングス80μV、前脛骨筋50μV、下腿三頭筋80μVであった。〈BS〉・介助歩行時の立脚期には、起立時の1~3倍高い筋電位であった。〈BS〉・2回目評価時は、抗重力主働作筋は約50%低下し、拮抗筋は約2倍高くなる傾向にあった。〈BS〉2.非麻痺側下肢は各動作の各筋肉で100~300μVの筋電位だった。〈BS〉【考察】〈BS〉今回の結果により、次のことが考えられる。〈BS〉1. 弛緩性麻痺側下肢は、立位・歩行と荷重することによって、筋収縮をしていると考えられる。〈BS〉2. 立位・歩行時の麻痺側下肢の筋収縮は抗重力主働作筋とその拮抗筋が同時収縮をしていると考えられる。〈BS〉以上より、脳血管障害の弛緩性麻痺患者において、立位・歩行することは、麻痺側下肢の支持性回復促通に効果的であると考えられる。また、同時収縮をしていることは、痙性を助長していない可能性も考えられる。これらについて今後、症例を増やして検討を加えていきたい。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680502948608
  • NII Article ID
    130005451372
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.31.0_110
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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