投球障害患者における投球フォームの特徴―Wind up時、Foot plant時の姿勢に着目して―
抄録
【目的】<BR> 投球動作は全身運動であり、運動連鎖の破綻は投球障害発症の一因となる。投球動作に重要な要素の1つとして、投球方向への重心のスムースな移動があげられる。中でも、Wind up時に後方重心を呈すると、それ以降の運動に悪影響を及ぼす可能性が高くなる。しかし、実際の投球障害患者の特徴を示したものや、各phaseとの関連を報告したものは少ない。今回、投球障害患者のWind up姿勢とFoot plant姿勢を評価し、障害との関連を検討したので報告する。<BR> 【対象と方法】<BR> 当院にて投球障害肩または肘と診断した52例を対象とした。全例男性で、スポーツ種目は野球、平均年齢は17.5±5.06歳(11~33歳)であった。初診時の投球フォームを観察し、Wind up時の姿勢と、Foot plant時の姿勢を評価した。評価は3名で行ない、一致した評価が得られたものを対象とした。Wind up時の観察項目として、体幹アライメント(体幹の角度)、体幹重心位置(軸足側足関節中心に対するTh9の前後方向位置)に着目し、以下のTypeに分類した。すなわち、前傾型(体幹屈曲位、体幹重心位置中央)、直立型(体幹中間位、体幹重心位置中央)、後傾型(体幹重心位置後方)である。また、Foot plant時の観察項目として、体幹重心位置(ステップ足側足関節中心に対するTh9の前後方向位置)に着目し、前方、中央、後方のTypeに分類した。<BR> 【結果】<BR> Wind upでは、前傾型9例、直立型20例、後傾型23例であった。また、Foot plantでは、体幹重心位置前方2例、中央23例、後方27例であった。Wind up姿勢とFoot plant姿勢の関連は,Wind upにて前傾型を呈した9例中、6例がFoot plant時に体幹重心位置後方であった。また、直立型を呈した20例中、11例が体幹重心位置中央、8例が後方であった。後傾型を呈した23例中、10例が体幹重心位置中央、13例が後方であった。<BR> 【考察】<BR> 本研究においても、過去の報告と同様、Wind up時に後傾型・Foot plant時に体幹重心位置後方を呈する症例が最も多く存在した。しかし、最も効率的な重心移動であるはずの直立型・体幹重心位置中央を呈する症例も次に多く存在した。このことから、Wind up時やFoot plant時の姿勢のみでは障害との関連は明確でなく、他の因子の影響も考慮していく必要性が考えられた。また、Wind up姿勢からの運動連鎖は多様であり、以後のphaseとの関連を分析していくことが重要と示唆された。
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 30 (0), 155-155, 2011
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680503563520
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- NII論文ID
- 130006950161
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可