介護老人保健施設専門職における連携実践要因の検討

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抄録

【はじめに】<BR>  介護老人保健施設(以下、老健)においても利用者中心とした業務には各専門職が連携する必要がある。しかし連携実践のために必要とされる共通のスキルや要件に関する項目を示し、検討を行った報告は少ない。そこで本研究では、(1)専門職連携に必要な要件やその実践状況に対する意識から要因を抽出し、その因子妥当性を行う。また(2)専門職連携の要件について、PTの実施度を把握するため、他の職種との実施度の差について検討を行う。<BR> 【方法】<BR>  リハビリ関連職員研修会(H21年12月)の参加者114名を対象として、専門職連携に必要な要件に対する意識と自身の実施度を問う12項目5件法の質問項目を含む無記名自記式の質問紙調査を実施した。調査目的や研究の倫理的配慮を口頭にて説明し、同意を得た者63名(回収率55.3%)を回収した。質問項目は多職種の専門職より「専門職連携に必要だと思う要件」を収集し、老健勤務の専門職と研究者で構成する検討会にて検討・選定を行った。分析は、(1)専門職連携に必要な要件の種類を把握するため、「求められる要件」を主因子法・プロマックス回転による因子分析を行った。(2)PTの連携実施度の検討については、PTとその他の職種の差を検討するため、項目別にt検定を実施した。<BR>  なお本研究は、社団法人埼玉県介護老人保健施設協会リハビリ関係職員研修会研修委員および社団法人埼玉県理学療法士会事業局高齢福祉部の協力を得て実施されたものである。<BR> 【結果】<BR> (1)専門職連携に必要な要件の因子分析の結果、因子負荷量の低かった2項目を削除し、10項目2因子を抽出した。第1因子は「信頼関係の構築」などの4項目を含み「情意面」(α=.831)、第2因子は「心身機能の評価」などの6項目を含む「技能面」(α=.817)とした。項目全体のα係数は.872であった。<BR> (2)PT(23名)が他の職種(介護職、OTなど 計40名)より高い実施度を示した項目は、「情意面」で2項目、「技術面」で1項目であった。また、低い割合を示した項目は、「技術面」の1項目であった。<BR> 【考察】<BR>  本研究で得られた必要な要件の「情意面」「技能面」の2因子は、先行研究で重要性が指摘された要件と一致した。また、α係数より因子の内的一貫性が確保され、それぞれの因子内に類似する項目が含まれていた。さらに項目全体のα係数より本調査に含まれる10項目はすべて一定の概念を表すものと考えられる。<BR>  また、PTの「現在の実施度」は、他の職種に比べ3項目で高く、そういった面で専門職連携の意識が日常の業務に反映していることが示唆された。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680503601280
  • NII論文ID
    130006950164
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.30.0.169.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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