クリニックにおける心臓リハビリテーションの現状と今後の課題
書誌事項
- タイトル別名
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- ~急性冠症候群発症から社会復帰に至る経過を追跡できた一症例~
説明
【はじめに】当院は、平成21年12月に循環器専門のクリニックとして開院し,循環器医療サービスと包括的心臓リハビリテーション(以下心リハ)を行い,地域における心疾患患者のQOL向上および心疾患の予防,早期治療を推進している.今回,胸痛を主訴に来院された症例に関し,当院における心リハの現状と今後の課題について以下に報告する.<BR> 【現病歴】50代女性,高血圧症,LDL高値,BMI27.3.H21年10月より起床時や食事中に胸痛あったが自宅にて経過観察. 11月立位で意識消失し近医受診.12月入浴後に約2分間ほど締め付けられるような胸痛あり当院受診.冠動脈CTにて右冠動脈(RCA-S3)に75%狭窄を指摘.心エコーにて下壁壁運動やや低下,左室肥大を認め,心臓カテーテル検査をすすめ,投薬にて経過観察中.翌年1月10日より頻回に胸部症状みられ,11日胸部症状増悪し三次救急受診,心電図上有意な虚血みられなかったが,当院での冠動脈CT画像から不安定狭心症疑われ緊急CAG施行,RCA-S3に90%狭窄を認めPCI施行となる.1月14日退院.18日当院受診.2月1日より心リハ開始.週1回の外来運動療法を実施した.<BR> 【心リハ経過】開始時より,自身が心臓病になったということと,胸部症状に対し強い不安の訴えがあったため,運動に対する不安の軽減と冠危険因子の是正を目的に週1回の外来通院運動療法を実施.栄養指導と日常生活での運動強度の確認,監視下運動療法及び在宅での運動指導を実施した.6週間の心リハ参加により運動に対する不安の軽減,復職と病前より行っていたウォーキング再開が可能となった.<BR> 【考察】胸痛を主訴とする症例に対し,当院で実施した冠動脈CTにより早期にPCI実施へとつながり,その後の心リハによって不安軽減や運動耐容能の改善を得られた症例を経験した.<BR> 本症例は,自身の家庭内での役割もあり,週1回の外来心リハ実施であったが,生活上の注意点の確認や監視下運動療法などにより,不安の軽減が図られ,身体と生活に対する消極的な考えが改善し,早期社会復帰を獲得した. 近年,虚血性心疾患患者の入院日数はより短縮される傾向にある.また当院では,地域の公共交通機関の脆弱性や仕事などで十分な頻度で通院できない症例も多い.しかし限られた時間であっても,実際の生活場面に即した運動指導や生活指導を行うことで,QOLを改善させることが可能であると考える.<BR> また今回の症例は,当院の開院案内を偶然見て来院しており,循環器医療や心臓リハビリテーションの周知度も依然低い状況であり,今後,地域医療機関との連携も含め心疾患の早期発見,予防やフォローアップなど包括的心リハの啓蒙・普及が必要と考える.<BR>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 29 (0), 130-130, 2010
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680503717760
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- NII論文ID
- 130006950243
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可