lateral thrustにより膝関節外側部痛を生じた一症例

  • 源 裕介
    千葉こどもとおとなの整形外科 リハビリテーション科
  • 長谷川 彰子
    千葉こどもとおとなの整形外科 リハビリテーション科
  • 綿貫 翔太
    千葉こどもとおとなの整形外科 リハビリテーション科

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  • 走行距離増加に伴う疼痛に対するアプローチの一考察

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【はじめに】<BR>今回、走行中のlateral thrustにより膝関節外側部痛を呈した症例を経験した。本症例は走行距離増加に伴い疼痛も増加傾向にあった。これらの症状に対し、筋のtightness除去に加えインソールとテーピングを実施したところ、フルマラソンが参加可能となるまで疼痛に改善が見られた。その病態と治療経過について、考察を加え以下に報告する。<BR> 【症例紹介】<BR>40歳代の女性である。診断名は右変形性膝関節症で、主訴はランニング中の右膝関節の外側部痛である。疼痛は歩行時、階段昇降、走行時で出現していた。また、3ヶ月後のフルマラソン参加が目標であった。<BR> 【理学所見】<BR>主な圧痛所見は、腸径靭帯、外側側副靭帯、外側膝蓋支帯、外側膝蓋大腿靭帯、外側膝蓋脛骨靭帯に確認され、grasping test陽性であった。ROMは屈曲140°、伸展-15°で、短縮テストはoverテスト、エリーテストで陽性であった。画像所見では若干ではあるが内側にOA changeと腓骨頭に骨棘、膝蓋骨外側偏倚が確認された。動作は歩行、走行、ステップ動作で右下肢のみlateral thrustが確認された。<BR> 【治療及び経過】<BR>初期はtightnessに対するストレッチングを中心に実施し、開始より1ヶ月でROMが伸展0°、屈曲155°、短縮テストがすべて陰性と改善が見られた。これにより歩行、階段等での疼痛は消失し、走行中の疼痛も軽減した。しかし走行距離増加に伴い、走行時の疼痛が増加傾向にあった。そこでテーピングにて脛骨内旋制動を行ったところ、距離増加に伴う疼痛も改善が見られた為、テーピングの効果に準じてインソールを作成。その後、テーピングを併用しながら走行距離を徐々に増加し、開始より3ヶ月後のフルマラソンに完走。完走後の疼痛も同部位の疼痛は確認されなかった。<BR> 【考察】<BR>本症例は評価より変形性膝関節症に腸脛靭帯炎を合併した症例と考えられた。そのため治療も腸脛靭帯炎に対するアプローチを中心に実施した。腸脛靭帯炎は一般的に膝関節外側のtightnessが主原因であるとされているが、本症例についてはtightness除去のみでは、走行距離増加に伴う疼痛が改善に至らなかった。この原因として、長距離走行での疲労に伴い膝関節外側支持機能が低下したと考えられ、これにより徐々にlateral thrustが大きくなり疼痛が増加したと考えられた。そのため本症例のようにフルマラソンを目指す場合、インソールとテーピングによるdynamic alignmentの補正が必要であったと考えられた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680503749376
  • NII Article ID
    130006950275
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.30.0.24.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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