人工膝関節全置換術後のリハビリテーション経過

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  • クリニカルパスの検証

抄録

【はじめに】<BR>人工膝関節全置換術(以下、TKA)後、クリニカルパスに則り、リハビリテーション(以下、リハ)を施行した。膝機能および歩行能力の経時的推移を評価することにより、クリニカルパスの妥当性を検討した。<BR> <BR>【対象】<BR>2010年6月~11月までに、変形性膝関節症(以下、OA膝)でTKAを施行し、術後3カ月の経過観察ができた25例(女24例、男1例)を対象とした。<BR><BR> 【方法】<BR>入院期間中のリハは、訓練室での理学療法のほか、病室でのCPMおよびカモペドを使っての自主的関節可動域訓練も併用し、退院後は、外来での理学療法を継続した。評価は、日本整形外科学会OA膝治療成績判定基準に基づき、歩行時疼痛、階段昇降時疼痛、屈曲角度 、腫脹、総合スコアの項目で、術前、退院時、術後2ヵ月、3ヵ月で判定する一方、VAS、筋力も測定した。筋力については、徒手筋力計(ニホンメディックス社製:Power Track II)を用いて大腿四頭筋とハムストリングを測定した。また、入院中の歩行能力についても検討した。<BR><BR> 【結果】<BR>歩行時および階段昇降時疼痛は、退院後から3ヵ月までに経時的な改善を認めた。屈曲角度は、退院時わずかに低下するが、その後回復し術前程度に戻る傾向を示した。総合スコアは、経時的に改善を示し、術前の平均57点から術後3ヵ月後には75点まで改善した。大腿四頭筋は、退院時、いちど低下するものの2カ月後には術前同等に回復した。ハムストリングは、術後低下も増加もなく推移した。VASによる評価(耐えられない症状100点~症状なし0点)は、経時的に改善し、術前の平均76点から3ヵ月後には15点まで改善した。また、術後、歩行器による歩行が4日(以下、括弧内はクリニカルパス目標値:6日)、杖での歩行が9日(8日)、入院期間は30日(28日)であり、クリニカルパスの目標は、ほぼ達成されていた。<BR><BR> 【まとめ】<BR>OA膝に対するTKAにおいて、入院時4週間のリハビリテーションを組み入れたクリニカルパスは、退院時の歩行および階段昇降能力も良好なことから、その妥当性が高いように思われた。TKAでは、膝関節の歩行時、階段昇降時の除痛効果が大きいため、機能的な改善がやや不十分であったとしても最終総合スコアの改善度は高値を示した。退院時の大腿四頭筋筋力が術前よりも低値を示すのは、TKAによる軟部組織への侵襲が影響を及ぼしていると考えられる。今後は症例数をさらに増やし、機能面のみならずADL面も含めて6ヵ月、1年と経時的に評価を実施し、再度検証を行っていきたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680503820800
  • NII論文ID
    130006950315
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.30.0.213.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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