THA患者に対するトレッドミル歩行装置を使用した横歩きの即時的変化
書誌事項
- タイトル別名
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- ~平地での横歩きと比較して~
説明
【目的】トレッドミル歩行装置(以下TR)での横歩きは平地での横歩きと比べ、有意に中殿筋の筋積分値が高くなるという、健常成人を被験者とした報告がある。変形性股関節症による代表的な跛行として、Trendelenburg跛行があり、改善のためには股関節外転筋筋力の向上は不可欠であるといえる。今回、THAを施行された患者に対し、TRと平地での横歩き練習を実施、TRでの横歩きは平地での横歩きと比べ即時効果としてどのような違いがあるのかを検討したので報告する。 【対象と方法】70歳代女性、右変形性股関節症に対し2009年12月に前方アプローチによるTHAが施行された。患者には口頭による十分な説明を行い、同意を得た。TR及び平地歩行での横歩きはそれぞれ異なる日に行った。測定は両日ともに介入前と横歩きを含めたPTプログラムを実施した後に行った。測定項目は、主観的評価尺度として数値的評価スケール(NRS)による重だるさ・歩きづらさ・疼痛の程度の聴取、Vorg scaleによる疲労の程度の聴取、股関節外転筋力(体重比)、10m歩行速度を行った。TRの設定は、実施時間は左右各7分、TR速度は患者が最も快適と感じた0.8km/hとした。このときの歩行率は104歩/分であった。平地横歩は進行方向に股関節が外転したのを1回とし、片手支持平行棒にて左右7分間メトロノームによる104回/分にリズムを合わせて行った。 【平地歩行による変化】 実施前10m歩行速度(m/min)は快適63.4・最速74.4に対し、実施後は快適61.9(変化率98%)・最速66.0(89%)であった。股関節外転筋力(体重比)は、術側15.4%・非術側19.4%に対し、実施後は術側15.1%(変化率98%)・非術側21.6%(113%)となった。自覚的評価尺度は実施前歩きやすさ1/10・重だるさ1/10・疼痛の程度1/10であり、実施後も同様であった。疲労の程度はVorg scale10から12へ変化した。 【TR歩行による変化】 実施前10m歩行速度(m/min)は快適65.0・最速74.1、実施後は快適69.0(変化率106%)・最速76.9(104%)であった。股関節外転筋力(体重比)は、術側13.7%・非術側19.1%に対し、実施後は術側17.3%(126%)・非術側20.0%(105%)となった。自覚的評価尺度は実施前歩きやすさ1/10・重だるさ1/10・疼痛の程度1/10であったが、実施後疼痛の程度が0/10に変化した。Vorg scaleは10から13へ変化した。 【考察】 TR横歩き後の方が平地での横歩きに比べて歩行速度・股関節外転筋力・主観的評価尺度に改善が認められた。TR上横歩きは平地上横歩きに比べ、反復運動が容易で、介助がしやすいなどの理由から実施直後の計測において股関節外転筋力が使いやすくなり、歩行速度・主観的評価尺度においても影響を与えたのではないかという事が示唆され、先行研究の結果も踏まえ本症例では有効であったと考える。
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 29 (0), 230-230, 2010
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680504338432
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- NII論文ID
- 130006950490
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可