末梢動脈疾患・糖尿病患者における足関節背屈可動域と足底部創傷部位の関係

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抄録

【目的】<BR>足潰瘍の危険因子として足底圧異常がある。足底圧異常により足底部の胼胝形成から潰瘍形成し、壊疽・切断に至るケースも少なくない。足関節背屈可動域制限は前足部の足底圧上昇をきたすと報告されているが、創傷部位と足関節背屈可動域制限に関する報告は少ない。そこで今回、足関節背屈節可動域と足底部創傷部位との関係について検討した。<BR>【対象】<BR>当院循環器科入院およびフットケア外来に通院し、運動療法を施行した末梢動脈疾患(以下PAD)・糖尿病(以下DM)患者15名27肢(男性18肢、女性9肢、平均年齢69.96歳±9.43)を対象とした。内訳はPAD患者5名、PAD・DM合併患者7名、DM患者3名であった。<BR>【方法】<BR>基本的情報(年齢・性別・BMI)、人工透析の有無、高血圧の有無、足関節背屈・底屈可動域、膝関節伸展可動域、創傷部位、FIM移動項目、足関節上腕血圧比、皮膚灌流圧をカルテより後方視的に抽出した。足関節可動域測定は、背臥位・膝関節伸展位・受動運動にてゴニオメーターを使用し、5°単位で測定した。足底部創傷部位は横足根関節より遠位を前足部とし、近位を後足部とした。足関節背屈可動域0°以下を制限あり群とし、なし群との2群間比較を行った。統計処理は正規性の検定に従いt検定、Mann-Whitney検定、χ2検定およびFisherの正確確率検定を行った。統計ソフトはRversion2.12.1を用いた。本研究は対象者に対し口頭および文章による十分な説明をし、同意を得て実施した。<BR>【結果】<BR>対象は制限あり群17肢(平均角度-2.65°±3.99)・制限なし群10肢(平均角度7.5°±4.25)に分類された。創傷部位は前足部16肢、前・後足部5肢、創傷なし6肢であった。2群間比較の結果、制限あり群に前足部創傷を有する者が有意に多かった(p<0.05)。その他項目では有意差を認めなかった。<BR>【考察】<BR>足関節背屈可動域制限がある患者は前足部の創傷に有意差があった。先行研究では足関節背屈可動域制限が前足部の足底圧上昇をきたすと報告されており、今回の結果からPAD・DM患者においても前足部創傷を形成する一つの要因として足関節背屈可動域制限による前足部足底圧の上昇が関与していたことが考えられた。<BR>【まとめ】<BR>本研究により前足部に創傷を有する患者の足関節背屈関節可動域訓練の必要性が示唆され、創傷予防・治療の一貫として足関節背屈可動域拡大は十分な介入効果を認める可能性がある。

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  • CRID
    1390282680505143680
  • NII論文ID
    130005451684
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.31.0_98
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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