圧痛計を用いた足底部の圧痛閾値の信頼性と測定部位による影響の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- ~痛みの定量化へ向けて~
説明
【目的】<BR>定量的な疼痛評価にはPain Visionなどがあるが、高価であり臨床で使用することは少ない。そこで、比較的安価で簡便に使用可能な、圧痛計を使用し、足底部における圧痛閾値の測定の信頼性及び測定部位による影響の検討を行ったので報告する。<BR> 【方法】<BR>対象は健常成人33名(男性22名、女性11名)、平均年齢26.0±4.8歳であった。圧痛閾値の計測にはBaseline社製の圧痛計dolorimeter(測定範囲:1-10kg)を使用した。測定部位は利き足及び非利き足の内側部(母指・示指の間と踵中央を結んだ線の1/2)と踵部(母指・示指の間と踵中央を結んだ線の踵最大突出部)とし、静かな個室のベッド上安楽臥位、室内温度は25度で測定した。利き足はボールを蹴る側の足と規定した。測定手順は、被検者を臥位にさせ、測定部にマーキングし、90度の角度で圧痛計を当て、1_kg_/秒で徐々に圧力を増加させた。被検者が不快感や痛みを感じたら「はい」と言ってもらい、すぐに圧力を上げるのを止め、値を確認した。同一部位にて3回連続で実施した。測定順序はランダムに実施した。統計解析にはSPSS19.0.0j を用い、有意水準は5%とした。圧痛閾値の利き足・非利き足、測定部の2要因による差の検定には反復測定による2元配置分散分析を用い、交互作用を認めた場合には、対応のあるt検定を用いた。<BR> 【説明と同意】<BR>測定にあたり、書面にて同意を得られたものに測定を実施した。<BR> 【結果】<BR>信頼性は級内相関係数(1.1)にて、各部位で0.81~0.89と高値であった。各部位の圧痛閾値(平均値±標準偏差)を、利き足内側部、非利き足内側部、利き足踵部、非利き足踵部の順に示す。男性では3.0±1.0、2.9±1.0、5.2±1.6、5.0±1.7、女性では2.7±0.9、2.3±0.7、4.9±1.8、5.2±1.9であった。男性では利き足・非利き足及び測定部位間共に主効果が有意であった(それぞれF=7.52、F=127.44)。女性では有意な交互作用(F=11.76)が認められたが、利き足及び非利き足共に測定部位間で有意差を認めた。<BR> 【考察】<BR>今回の方法にて圧痛計を使用した定量的な圧痛閾値の測定は、信頼性が高く、臨床での使用も可能と考える。また、測定部位間の差については、立位・歩行等での刺激入力が、内側部と踵部では刺激強度が日常的に違うことで有意差が生じたと推測される。利き足・非利き足については差が認められたため、左右別々に測定する必要があるが、有意差の理由については日常的な機能による違いが考えられ、今後検討が必要である。<BR> 【理学療法学研究としての意義】<BR>今回、足底部の圧痛閾値の計測を実施したが、圧痛計を使用しての報告は少なく、足底部の圧痛閾値の報告は稀である。今回の結果は、圧痛評価の方法及び基礎データとしての活用が期待でき、今後中枢神経疾患患者への応用を検討している。
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 30 (0), 268-268, 2011
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680505258752
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- NII論文ID
- 130006950802
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可