脳卒中片麻痺患者の杖歩行パターンに影響を及ぼす因子について

  • 後藤 優花
    総合リハビリテーションセンターみどり病院 リハビリテーション科
  • 河西 涼子
    総合リハビリテーションセンターみどり病院 リハビリテーション科
  • 浜辺 政晴
    総合リハビリテーションセンターみどり病院 リハビリテーション科
  • 内藤 俊樹
    総合リハビリテーションセンターみどり病院 リハビリテーション科
  • 鈴木 友和
    総合リハビリテーションセンターみどり病院 リハビリテーション科

Bibliographic Information

Other Title
  • ―2動作・3動作歩行の比較検討―

Description

【目的】<BR>脳卒中片麻痺患者における杖歩行パターンには二点一点支持歩行(以下2動作歩行)と常時二点歩行(以下3動作歩行)がある.一般に杖歩行は3動作歩行から獲得され,身体機能の改善に従い,2動作歩行へ移行すると考えられている.しかし,2動作歩行獲得に関連する因子についての報告は少ない.<BR>そこで今回,脳卒中片麻痺患者を対象に,杖歩行パターンと運動機能及び高次脳機能との関連性について調査し,患者が2動作歩行を獲得する為に必要な機能について明らかにすることを目的に研究を実施することにした.本研究は当院の倫理委員会の承認を受け対象者に本研究の説明をし,同意を得た.<BR> <BR>【方法】<BR>対象は当院回復期病棟入院中の脳卒中片麻痺患者9名とした.杖歩行パターンにより2動作群5名(67.8±9.09歳)と3動作群4名(54.25±3.30歳)に分類し,Brunnstrom Recovery Stage(以下BRS),脳卒中機能評価法(以下SIAS),NTP-Stage,関節可動域検査(他動的股関節伸展),筋力測定検査(以下MMT),麻痺側振動覚検査(膝蓋骨,外果),麻痺側二点識別覚検査(母趾,踵部),膝位置覚検査,Berg Balance Scale(以下BBS),今回独自に考案したバランス評価(全5項目),及びBIT行動性無視検査(通常検査)を実施した.関節可動域検査,膝位置覚検査,BBS,BITは各群の平均値を比較し,BRS,NTP-Stage,MMT,麻痺側振動覚検査,麻痺側二点識別覚検査は各群の中央値を比較した.なお麻痺側振動覚検査,麻痺側二点識別覚検査は結果を点数化し検定を行った.差の検定にはstatcel2を使用し,対応のないt検定又はマンホイットニーのU検定を行った.なお有意水準はp<0.05とした.<BR><BR> 【結果】<BR>2群間で有意差がなかった項目は,BRS,SIAS,NTP-Stage,非麻痺側股関節伸展角度,MMT,麻痺側振動覚検査,バランス評価のうち4項目,BIT行動性無視検査であった.それ以外の麻痺側股関節伸展角度,麻痺側二点識別覚検査,膝位置覚検査,バランス評価のうち1項目(項目名:麻痺側後ろステップ肢位での重心移動能力)では2動作群の方が有意に機能が高かった.<BR><BR> 【考察】<BR>2動作歩行獲得には,麻痺側の二点識別覚,膝位置覚の関与が強いことが示唆された.また先行研究では2動作歩行には股関節伸展とそれに伴う前方への推進力による連続した重心移動の重要性が指摘されている.本研究でも2動作群は,麻痺側股関節伸展の可動域及びステップ肢位での重心移動能力が有意に高く,同様のことが示唆された.

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680505357056
  • NII Article ID
    130006950863
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.30.0.294.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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