競技復帰を目標としたFAI術後の一症例

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【はじめに】<BR>近年、股関節鏡手術発展とともに股関節インピンジメント(以下、FAI)と診断されるアスリートが増加してきている。しかし、股関節鏡手術の歴史は浅くリハビリテーションの方針が現在も検討されている。今回、FAI股関節鏡手術術後の症例に対し競技復帰を目標としたリハビリテーションを行い、検討を行った。術前評価から術後12週までの経過をここに報告する。また、ここで使用される情報は本人に研究参加への説明をし同意を得た。<BR>【症例紹介】<BR>症例は20代男性の野球部投手でリーグ戦中に右股関節痛出現し、他院に受診。3DCT、MRI画像所見にてFAI(CAM type)と診断される。3ヶ月保存療法行うも症状改善せず。当院にて股関節鏡手術行い、翌日より理学療法開始となる。<BR>【術前理学所見】<BR>長時間座位や投球時のコッキング相の右股関節内旋時、股関節過屈曲時で股関節痛を認めた。インピンジメントテスト陽性、腸腰筋、股関節外旋筋、内転筋に圧痛認めROMは、股関節屈曲50°伸展5°内旋0°であった。股関節屈曲・外転筋MMT3、内・外旋は疼痛のため実施できず、股関節周囲に筋力低下、歩行時に跛行を認めた。<BR>【リハビリテーション方針】<BR>術後2日目より全荷重開始し、術後3週間は関節唇保護のため可動域制限(股関節屈曲30°伸展・回旋禁忌)が設定され筋力トレーニングは股関節外転筋・体幹筋を中心に等尺性収縮で行い移動は両松葉杖歩行とした。術後4週目より全可動域の可動・独歩許可、術後12週間で競技復帰を目標とした。<BR>【治療と経過】<BR>術後4週目で全可動域可動許可となり独歩にて自宅へ退院、その後外来通院となった。全可動域可動許可後、術後6週目で股関節屈曲120°伸展15°内旋15°獲得し、術後10週目でインピンジメントテストは陰性、内旋は左側同様30°となった。また、股関節屈曲・外転筋MMT5と筋力向上を認めたが骨頭を求心位に保つために必要な股関節外旋筋に疼痛を認めた。術後12週目では疼痛消失しスポーツテスト実施、18点に達しピッチング練習の開始とともに競技復帰となった。<BR>【考察】<BR>本症例に対し、股関節鏡手術術後の理学療法の内容を検討した。術後3週間は活動制限あり可動域制限と著しい筋力低下が想定されたが、術後12週目の時点では著しい筋力低下や股関節の違和感はなく、競技復帰へと進めていくことが可能であった。股関節鏡手術術後のFAI患者に対し今回のリハビリテーション内容は有用だったのではないかと考えた。今後も、様々なFAIに対するリハビリテーション内容や長期的な経過をさらに検証し取り組んでいきたい。

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  • CRID
    1390282680505493504
  • NII Article ID
    130005451577
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.31.0_30
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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