Rigid dressingの有効性の再考
Bibliographic Information
- Other Title
-
- ―外傷性大腿切断の一症例を経験して―
Description
【はじめに】切断術後の断端管理はSoft dressing,Semi Rigid dressing,Rigid dressingの三者が代表的である.本症例は外傷性であり感染の危険性や術創部の治癒の問題により,術後初期の断端管理法はSoft dressingが選択された.術創部の治癒は順調であったが,上手く断端の浮腫をコントロールすることが出来なかった.しかし,その後Rigid dressingへと変更することで断端の浮腫を軽減させ,断端の成熟促進に繋がった.本症例を通してRigid dressingの有効性を再考するとともに,そのメカニズムについて若干の考察を加え報告する.<BR> 【症例紹介】56歳.女性.診断名:両下肢挫滅,出血性ショック.現病歴:自宅の畑で耕運機の操作を誤り,刃に挟まり受傷.同日,当院救急外来受診.右下肢は大腿中央部に皮下までの挫創,下腿は損傷が激しく,裂挫創が数か所.左下肢は鼡径部で裂挫創,内転筋群・大腿静脈の損傷,両下肢とも砂,埃による汚染が激しい状態.緊急手術となり,右大腿切断術,左下肢鼡径部洗浄,左大腿静脈を結紮して止血,デブリードメントを施行.手術後5病日より理学療法開始となる.<BR> 【経過】術後初期はSoft dressingで断端管理を行った.術創部や皮膚の状態は順調に回復していたが,断端の浮腫の軽減を図ることが困難であったため,13病日よりRigid dressingへ変更した.変更することでSoft dressingの際,変化がみられなかった断端周径が14病日には坐骨結節下10cmで0.5cm,15cmで1.5cm,20cmで1.0cmと浮腫の改善が図れた.16病日に巻き直しを行い,18病日には術創部の傷の状態も良好であるため吸着式ギプスソケットを作製した.19病日には坐骨結節下5cmで5.0cm,10cmで4.0cm,15cmで4.5cm,20cmで3.0cmとさらなる浮腫の軽減が図れた.21病日より左下肢部分荷重を開始,また左下腿三頭筋の拘縮改善の為にTilt Table起立練習を開始した.その後,25病日よりナイトソケット装着開始,33病日よりパイロン義足装着練習を開始,39病日より平行棒内立ち上がり練習を開始,41病日にはソケットを再作製し,46病日より平行棒内歩行練習開始となる.そして55病日に回復期リハビリテーション病院への転帰と至る.<BR> 【考察】本症例は,断端管理法をSoft dressingよりRigid dressingへ変更することで,術後断端の浮腫のコントロール,さらには断端の成熟促進や治療期間の短縮等,さまざまなRigid dressingの利点を生かすことができた症例であると考えられる.当院では義肢装具士が常勤していない為,医師からの相談を受けPTが実施した.Rigid dressingは巻き直しの煩雑さ等の欠点もあるものの,メカニズムを考え,利点を考慮すると今回の症例には適した断端管理法であったと考えられる.Rigid dressingは断端管理法の一選択肢として有効であると再確認出来たとともに,もっと臨床で選択されるべき断端管理法であるのではないかと考える.
Journal
-
- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
-
関東甲信越ブロック理学療法士学会 28 (0), 50-50, 2009
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
- Tweet
Keywords
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680505504512
-
- NII Article ID
- 130006950947
-
- ISSN
- 2187123X
- 09169946
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed