骨盤肢位の違いが肩関節外旋運動に与える影響
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説明
【目的】<BR>本研究の目的は、骨盤傾斜角度と肩関節回旋角度の違いが、肩関節外旋運動時の肩関節周囲筋の筋活動に与える影響を明らかにすることである。<BR>【方法】<BR>対象は、ヘルシンキ宣言に基づき研究の主旨を十分に説明し、同意を得られた健常成人男性13名(年齢24.6±2.5歳)とし、全て右側を測定した。測定肢位は端座位にて上肢下垂位での肘関節90°屈曲位、前腕・手関節中間位とし、測定条件は骨盤前傾位、後傾位の骨盤2肢位と、肩関節内旋20°、内外旋0°、外旋20°の肩関節3肢位の計6条件とした。骨盤傾斜角度の設定は、上前腸骨棘と上後腸骨棘を結んだ線が床面に対し10°前方に傾斜した肢位を骨盤前傾位、10°後方に傾斜した肢位を骨盤後傾位とした。測定方法は上記6条件において、プーリーのグリップに1kgの重錘バンドを巻きつけ肩関節内旋負荷が水平方向にかかるよう設置し、もう一方のグリップを把持して各肢位の保持を行わせた。測定筋は僧帽筋中部線維、棘下筋上部線維とし、各測定を2回ずつランダムに行い、5秒間の等尺性収縮のうち安定した3秒間の筋積分値を計測し、各肢位において比較した。統計学的処理は二元配置の分散分析を行い、有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】<BR>測定した2筋ともに、骨盤肢位の変化における筋積分値の有意差や傾向はみられなかった。僧帽筋中部線維は骨盤2肢位ともに肩関節内旋20°に比べ外旋20°で有意に筋積分値が増加した。棘下筋上部線維は骨盤前傾位では肩関節外旋角度の拡大に伴い有意に筋積分値が増加し、後傾位では内旋20°に比べ外旋20°で、内外旋0°に比べ外旋20°で有意に筋積分値が増加した。<BR>【考察】<BR>僧帽筋中部線維と棘下筋上部線維は骨盤前傾位、後傾位ともに筋積分値に有意な差は認められなかった。これは対象とした2筋の走行から水平面上の運動に大きく関与し、骨盤前後傾のような矢状面上の運動への関与が少ないためと考えられる。また、両筋ともに内旋位より外旋位で筋積分値が増大する傾向にあった。これは、外旋角度の拡大に伴い肩甲骨は内転、上腕骨は外旋するため筋長が短くなり、筋長-筋張力の関係により多くの筋活動を必要としたと考えられる。〈BR〉本研究より、下垂位での肩関節外旋運動のような水平面上の運動における僧帽筋中部線維、棘下筋上部線維の筋活動に関しては、骨盤前後傾のような矢状面上の運動の影響は大きく受けず、運動時の外旋角度が重要であることが示唆された。<BR>【まとめ】<BR>肩関節外旋運動は骨盤傾斜角度よりも運動時の外旋角度が重要であることが明らかとなった。また下垂位での肩関節外旋筋の訓練では、外旋角度の拡大に伴い負担が増大することを念頭に置く必要性が示唆された。
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 31 (0), 73-, 2012
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680505524352
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- NII論文ID
- 130005451598
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可