一般毒性

  • 平塚 一幸
    Meiji Seika ファルマ(株)医薬研究所 安全性研究室

書誌事項

タイトル別名
  • General toxicity studies

説明

医薬品開発における一般毒性試験とは,医薬品の候補となる化合物(以下,候補化合物)を哺乳動物に1回(単回)あるいは繰り返し(反復)投与し,候補化合物の作用よって生じる毒性変化を様々な検査を行い評価する試験である。一般毒性試験の基本的な試験方法については,世界標準的な基準(ICHガイドラインという)により定められており,またGLPという信頼性基準に関する省令に遵守して実施することが必須である。一般毒性試験で実施する検査には,いわゆる私たちが健康診断の時に実施する臨床検査(体重測定,血液生化学的検査,血液学的検査,尿検査,心電図検査,眼検査)と実験動物を用いた試験でしか行えない病理学的検査がある。一般毒性試験を実施する目的は,候補化合物の臨床治験の際にヒトで起こりうる副作用を予測して,それを医師,薬剤師及び被験者へ適切に情報提供することにより,治験が安全に進められるようにすることにある。したがって,ヒトに初めて投与される前に実施しておくべき極めて重要な試験の1つであり,候補化合物の持つ作用により生じる変化を用量と時間との関連で把握することが肝要である。また,げっ歯類(主にラット)と非げっ歯類(主にイヌ又はサル)の2種の実験動物を用いて実施し,候補化合物の持つ作用について種差も考慮して慎重に評価することが要求される。<br>実験動物を用いる一般毒性試験の有用な点は,病理学的検査により候補化合物の毒性の標的となる臓器・組織を特定し,併せて実施した血液・血液生化学検査等の結果と関連付けて,その作用を質的に特徴付けることができる点にある。認められた変化が回復性の変化でることと併せて,重篤な副作用に至る前の段階で副作用の兆候を臨床的にモニタリングできるか否かは,医薬品を開発していくうえで重要なポイントになる。一方,実験動物とヒトとの反応性や代謝などの差は,認められた毒性所見の臨床的意義を考察するうえでの大きな障壁であり,可能な限りヒトへの外挿性が高い試験系を選択して評価することが重要な課題である。<br>本演題ではいくつかの被験物質の一般毒性試験の結果を例示し,一般毒性試験の概要を紹介する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680521500672
  • NII論文ID
    130004676836
  • DOI
    10.14869/toxpt.40.1.0.4015.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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