Retinal toxicity induced by small-molecule HSP90 inhibitors in dogs

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  • 低分子HSP90阻害剤によるイヌにおける網膜毒性

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Heat shock protein 90(HSP90)は主要な分子シャペロンの一つであり,細胞の増殖,生存,分化等に関わるタンパク質を含む様々なクライアントタンパク質と複合体を形成することで,それらの機能に重要な役割を果たしている。このことから,HSP90は抗腫瘍効果が期待される標的分子であり,現在いくつかのHSP90阻害剤について臨床試験が行われている。今回,HSP90に高い選択性を示し,強力な抗腫瘍効果を示す,異なる基本骨格を有する2種類のHSP90阻害剤(CH5164840及びCH5449302)をビーグル犬に反復経口投与した毒性試験において,網膜毒性が認められた。その結果について報告する。<br>CH5164840を24日間投与したところ,散瞳や歩行異常といった視覚障害を疑わせる所見がみられ,眼科学的検査において対光反射の消失が認められた。さらに眼に対する影響を詳細に検討するため網膜電位図(ERG)測定を実施したところ,ERG波形の消失,潜時延長,電位低下が認められた。また,病理組織学的検査において網膜視細胞層の菲薄化,外顆粒層の空胞化及び菲薄化がみられた。一方,CH5449302を35日間投与したところ,一般状態及び眼科学的検査において眼の異常はみられなかったが,ERG測定において波形の消失,潜時延長及び電位低下が認められた。病理組織学的検査においては網膜視細胞層の空胞化及び外顆粒層細胞の減少がみられた。特筆すべきは,いずれの化合物においても,眼における異常は他の毒性に比べ早期または低用量から認められた。<br>今回異なる基本骨格を有する2種類のHSP90阻害剤で網膜毒性がみられたこと,また複数のHSP90阻害剤の臨床試験において視力障害が報告されていることから,当該化合物のイヌにおける網膜毒性はHSP90阻害に関連するものであることが示唆され,HSP90阻害剤の開発においては眼への影響を精査することが必要と考えられた。引き続き,当該化合物による網膜毒性のメカニズムについて検討を行っている。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680521860736
  • NII Article ID
    130004676685
  • DOI
    10.14869/toxpt.40.1.0.2002092.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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