無アルブミン血症ラットにおけるペルフルオロカルボン酸の生体内分布

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タイトル別名
  • Distribution of perfluorocarboxylic acid in Nagase analbuminemic rats

抄録

【背景と目的】ペルフルオロカルボン酸(PFCA)は,化学的に安定で環境中に長く残留することに加え,ヒトにおける生物学的半減期が極めて長いことから,ヒトの健康への影響が懸念されている。PFCAの主要な分布組織は肝臓や血液であり,血液中では主としてアルブミンに結合して存在している。本研究では血清アルブミンがPFCAの生体内分布とその作用に及ぼす影響を明らかにするため,無アルブミン血症ラットを用いて検討を行った。【実験方法】遺伝的にアルブミンを欠損しているNagase analbuminemic rat (NAR)および対照群としてSpague-Dawleyrat(SDR) (雄性,6週齢)を用い,経口投与または皮下によりペルフルオロオクタン酸(PFOA)またはペルフルオロデカン酸(PFDA) 2, 5, 10,または20 mg/kgを1日1回,5日間投与した。ラットから血液及び組織を採取し,血清及び種々の組織中のPFCA量を,蛍光誘導体化-HPLC法により定量した。肝臓からRNAを抽出し,real time PCR法によりacyl-CoA oxidase (AOX), CYP4A10遺伝子発現量を検討した。【結果・考察】NARにおいてPFOAの血清中濃度は,SDRに比べて著しく低かった。また,肝臓,腎臓など主要な組織中の濃度も低下していた。一方,PFDAの場合には,NARの血中濃度はSDRの半分程度であり,また,組織中濃度はSDRとの差はほとんど認められなかった。肝臓におけるAOXおよびCYP4A10の発現量はPFCAの投与により上昇するが,これら遺伝子の発現量と肝臓内のPFCA濃度には正の相関が認められた。アルブミンの影響はPFDAよりPFOAで大きく現れることから,アルブミンと組織における分配がPFCAの炭素鎖長により異なることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680521997824
  • NII論文ID
    130004676741
  • DOI
    10.14869/toxpt.40.1.0.2003148.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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