流紋岩の風化における間隙表面の水膜の効果

  • 横山 正
    大阪大学 大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of film water on pore surfaces in weathering of a rhyolite

説明

地表付近の岩石内部では,降水・乾燥・排水が断続的に起こるため,間隙が水で満たされていない不飽和状態になる。不飽和状態では,飽和状態と比べると鉱物表面の水の厚さが薄くなる。多孔質流紋岩を用いて,飽和・不飽和(水飽和率43%)両方の条件で溶解実験を行った結果,両条件下の溶解速度は9日経過後にはほぼ同じになった。したがって,空気が間隙の57%を占める状態でも,ほぼ全ての間隙表面が水で覆われて溶解が進むことが分かった。間隙表面の水の厚さは,BET比表面積値に基づき全体が同じ厚さの水で覆われているとすると,220 nmと計算される。一方,水銀圧入法の測定結果(平均間隙半径2.5 µm)を基にすると,水膜中の圧力(分離圧)の式と毛管圧の式とから,水膜厚さは約3 nmと計算される。これらのことから,約3–220 nmの厚さの水膜でも,ほぼ飽和の場合と同じ速度で風化を進める効果があることが分かる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680523399296
  • NII論文ID
    130005468223
  • DOI
    10.14824/jakoka.2012.0_145
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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