鉄過剰食投与ラットにおける出血および凝固異常の解析

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タイトル別名
  • Analysis of hemorrhage and coagulation abnormality in rats fed with high iron diet

抄録

【目的】当研究室の先行研究において,ラットを用いた鉄過剰食の投与実験にて複数個体に出血傾向が認められた.食餌性鉄投与による血管系や凝固系への影響に関する報告は乏しく,そのメカニズムには不明点が多い.本研究では,鉄過剰食投与ラットを用いて,出血メカニズムの解析を行った.【方法】F344ラット(6週齢,雄)に鉄過剰食(1% Fe含有,クエン酸鉄配合)または正常食(0.02% Fe含有)を6週間自由摂餌投与し,血液学的検査,血液生化学的検査,凝固系検査,病理組織学的検査を行った.【結果・まとめ】鉄過剰食群において,6例中3例で出血が認められた.出血個体では,赤血球数減少,ヘモグロビン値およびヘマトクリット値の低下,血中アルブミン値の低下がみられた.残り3例の非出血個体では,血清鉄および肝臓鉄の上昇,トランスフェリン飽和度の上昇がみられた.出血の有無にかかわらず,鉄過剰食群ではプロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長が認められた.先行研究の結果も含め,出血は肺,胸腺,精巣上体周囲および後肢に好発した.鉄過剰食群の全身臓器において,明らかな病理組織学的変化は認められなかった.以上より,1%鉄含有食の投与によりラットに凝固異常を伴う出血傾向を誘発する可能性が示された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680523602816
  • NII論文ID
    130005260740
  • DOI
    10.14869/toxpt.43.1.0_p-182
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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