ヒト肝癌由来細胞株(HepG2細胞)におけるホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PCOOH)の細胞毒性発現機構

DOI
  • 内野 正
    国立医薬品食品衛生研究所・生活衛生化学部
  • 仲川 清隆
    東北大学大学院農学研究科・機能分子解析学
  • 伊藤 隼哉
    東北大学大学院農学研究科・機能分子解析学
  • 三上 優依
    東北大学大学院農学研究科・機能分子解析学
  • 宮澤 陽夫
    東北大学・未来科学技術共同研究センター 東北大学大学院農学研究科・食の健康科学ユニット
  • 秋山 卓美
    国立医薬品食品衛生研究所・生活衛生化学部
  • 五十嵐 良明
    国立医薬品食品衛生研究所・生活衛生化学部

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanism of cytotoxicity of phosphatidylcholine hydroperoxide against human hepatocellular carcinoma cell line (HepG2)

抄録

【目的】動脈硬化の発症、進展においてLDLの酸化が重要な要因であるとされている。LDL粒子表面のホスファチジルコリン(PC)の酸化により生じるPCヒドロペルオキシド(PCOOH)は、単球の血管内皮細胞への接着亢進などを惹起して動脈硬化の進展に強く関わることが示唆されており、その病態生理学的作用が注目されている。我々は先に、ヒト肝癌由来細胞株HepG2細胞を用いた細胞毒性試験において、PCOOHの細胞内還元を抑制することによりPCOOHによる細胞毒性が顕著に増加したことから、還元物PCOHではなくPCOOH自体の作用により細胞死が起こることを明らかにしているが、その発現機構については未だ不明な点が多い。そこで、鉄依存的な脂質過酸化による細胞死(フェロトーシス)を考え、フェロトーシス阻害剤デフェロキサミン(DFO)の影響を調べた。<br>【方法】HepG2細胞1×105cells/mLを96穴プレートに播種して24時間前培養後、PCOOH(13位が過酸化されたホスファチジルコリンヒドロペルオキシド) 50 μM,グルタチオンペルオキシダーゼ阻害剤ブチオニンスルフォキシミン(BSO)100 μMおよびDFO 0~50 μMを添加して24時間培養したのち、細胞生存率をWST-1アッセイにより測定した。<br>【結果・考察】PCOOHは単独でHepG2細胞の生存率を50%程度に低下させたが、BSOで細胞内グルタチオン濃度を下げた場合は生存率20%以下と、更に強い細胞毒性を示した。一方 DFOは、PCOOHによる細胞毒性を25 μM以上で濃度依存的に抑制した。以上の結果から、PCOOHによる細胞毒性はフェロトーシスの関与が示唆された。現在、他のフェロトーシス阻害剤、あるいは炎症性サイトカイン等の影響について検討中である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524010624
  • NII論文ID
    130005260639
  • DOI
    10.14869/toxpt.43.1.0_o-43
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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