がん予防および抗がん剤治療における異物代謝酵素を制御するNrf2の誘導剤および阻害剤としての生薬エキス

書誌事項

タイトル別名
  • Modulation of Nrf2-regulated xenobiotic metabolizing enzymes by crude drugs in chemeprevention and anticancer therapy

説明

【目的】転写因子nuclear factor E2-related-factor 2(Nrf2)は化学物質の解毒や酸化ストレスの抑制に関わる遺伝子の発現制御に関与する。通常、Nrf2はKelch-like ECH-associated protein 1(Keap1)依存性プロテアソーム系により分解され、発現レベルは低く保たれているが、一部のヒトがん組織では遺伝子変異のためNrf2が過剰発現している。正常細胞におけるNrf2はその活性を高めることで酸化ストレスを軽減し疾病の予防に繋がるとされ、一方、がん細胞におけるNrf2は対照的にその活性を低下させることで抗がん剤の治療効果を増強することが可能であると考えられている。そこで本研究では、Nrf2の活性化作用または阻害作用を有する化合物を探索するため、培養細胞を用いて様々な生薬エキスのスクリーニングを行った。<br>【方法】Nrf2活性化作用を調べるための細胞として正常ラット肝由来のClone 9細胞を用いた。Nrf2阻害作用を調べるための細胞としてヒト肺がん由来のNrf2過剰発現細胞であるA549細胞を用いた。<br>【結果・考察】Nrf2によって制御される異物代謝酵素としてNAD(P)H:quinone oxidoreductase 1(NQO1)を指標に各種生薬エキスで処理したClone 9細胞のNQO1活性を測定した結果、キョウカツ抽出物が最も高いNQO1活性上昇作用を示した。さらに、キョウカツ抽出物の処理により、Nrf2発現レベルの上昇ならびに酸化ストレス誘発剤による殺細胞作用の抑制がみられた。Keap1変異によりNrf2が過剰発現しているA549細胞に生薬エキスを処理した結果、ケイヒ抽出物はNQO1活性およびNrf2発現レベルを低下させた。また、ケイヒ抽出物を処理したA549細胞では抗がん剤の細胞毒性に対して感受性が増強した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524196608
  • NII論文ID
    130005468691
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_p-30
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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