<i>In silico</i> による心循環器毒性評価

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Non-clinical cardiovascular toxicology using <i>in silico</i> approaches

抄録

心循環器領域では、早くからシミュレーションの有用性が認識されてきた。1960年代にはNobleによって心筋細胞の活動電位モデルが開発され、1970年代には循環系モデルも報告されている。その後、定量的な実験データの蓄積およびモデル開発の進歩に伴い、より複雑で精緻な生理現象を記述することが可能となり、医療応用への期待が高まっている。本シンポジウムでは、心循環器毒性における応用について概説する。<br>QT延長型不整脈が原因で市場撤退あるいは開発中止となった薬剤があることから、hERG阻害作用やQT延長作用の解析は心循環器毒性評価の重要な項目である。しかし、コスト面や偽陽性・偽陰性の課題を残しており、評価のエンドポイントをQT延長から催不整脈性に変更しようとCiPAが立ち上がった。CiPAは日本のJiCSA等の協力を得て、新規評価法を導入する際に科学的根拠となる実験データを収集しているところである。新規法としては、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の利用あるいはコンピュータシミュレーション、すなわちin silicoを利用した方法が提案されている。後者では、複数のヒトイオンチャネルへの薬剤反応性から不整脈リスクを予測することが想定されている。一方、我々はヒトiPS細胞株の違いによって、分化心筋細胞の電気的特性や薬剤反応性が異なるかどうかをin silicoを利用して理解しようとしている。今回は、我々の最新の結果を紹介しつつ、全体の流れとの関係性について議論したい。なお、本研究の一部は国立研究開発法人日本 医療研究開発機構(AMED)の医薬品等規制調和・評価研究事業委託研究のご支援により行われた(16mk0104007h0003)。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524263168
  • NII論文ID
    130005260854
  • DOI
    10.14869/toxpt.43.1.0_s21-2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ