TPTの成熟期雌性マウスにおける28日間反復経口投与毒性試験と卵巣機能による毒性発現修飾

  • 大塚 佑基
    岐阜薬科大学生命薬学大講座衛生学研究室
  • 青木 明
    岐阜薬科大学生命薬学大講座衛生学研究室
  • 中西 剛
    岐阜薬科大学生命薬学大講座衛生学研究室
  • 永瀬 久光
    岐阜薬科大学生命薬学大講座衛生学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Potential modification of triphenyltin-induced toxicity in adult female mice by ovarian functions

説明

これまでに我々は、船底塗料等に用いられてきたトリブチルスズ(TBT)やトリフェニルスズ(TPT)が、核内受容体であるレチノイドX 受容体やペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γを介してヒト胎盤内分泌機能の修飾や巻貝類の雄化を引き起こすことを報告してきた。TBT、TPTのこれらの作用は、人を初めとする幅広い生物種の生殖機能等に対し影響を与える可能性を示唆している。既にTBTにおいては、妊娠動物への曝露により奇形胎仔の増加や仔動物の精子細胞数の減少等の生殖発生毒性を惹起することが報告されているが、TPTにおける報告はほとんどなく、さらに成熟期雌性動物の内分泌機能に焦点を置いた検討は皆無に等しい。そこで本研究では、TPTについてOECDテストガイドライン(TG)に準拠した毒性試験を行い、成熟期雌性マウスに対する影響について詳細な検討を加えた。<br> まずTG407に準拠し、ICR雌性マウスを用いてTPTに関する28日間反復経口投与毒性試験を行った。その結果、10 mg/kg TPT投与マウスにおいて、肝臓重量の増加と性周期の乱れが認められた。次に雌性内分泌機能への影響を検討する目的でTG440に準拠し、卵巣摘出術(OVX)または偽手術(Sham)した雌性マウスに7日間TPTを経口投与して、子宮肥大試験を行った。その結果、TPT投与はどちらのマウスの子宮重量にも影響を与えなかった。しかし10 mg/kg TPT投与は、Shamマウスにおいては先の結果を反映して肝臓重量を増加させる一方で、OVXマウスにおいては肝臓重量には影響を与えず、胸腺と脾臓重量を有意に減少させた。さらに両マウスにエストロゲンを補充して同様の検討を行っても、TPTによる臓器重量変化に影響は認められなかった。以上より、成熟期雌性マウスに対するTPTの毒性は、エストロゲン産生以外の卵巣機能よって修飾される可能性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524356992
  • NII論文ID
    130005468764
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_p-24
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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