ナノ銀曝露による細胞増殖能への影響評価

  • 西川 雄樹
    大阪大学大学院薬学研究科 毒性学分野
  • 東阪 和馬
    大阪大学大学院薬学研究科 毒性学分野 医薬基盤研究所 バイオ創薬プロジェクト
  • 森下 裕貴
    大阪大学大学院薬学研究科 毒性学分野
  • 難波 佑貴
    大阪大学大学院薬学研究科 毒性学分野
  • 角田 慎一
    医薬基盤研究所 バイオ創薬プロジェクト 大阪大学MEIセンター
  • 吉岡 靖雄
    大阪大学大学院薬学研究科 毒性学分野 医薬基盤研究所 バイオ創薬プロジェクト
  • 堤 康央
    大阪大学大学院薬学研究科 毒性学分野 大阪大学MEIセンター

書誌事項

タイトル別名
  • The effect of silver nanoparticles on cell proliferation

説明

近年、粒子サイズの微小化により、従来素材よりも優れた機能を有するナノマテリアル(NM)の開発・応用が進展し、NMは医薬品・化粧品・食品など、我々の生活において、必要不可欠な存在となっている。従って我々は、老若男女を問わず、微量ではあるものの、NMに意図的・非意図的に曝露されていると考えられる一方で、NMの安全性については、ハザード情報と共に、曝露実態情報の収集が乏しいのが現状である。本観点から我々は、有用かつ安全なNMの創製に資する基盤情報の収集を目指したNano-Safety Science(ナノ安全科学)の視点からの検討を推進している。本研究では、家庭用品など、既に多くの分野で汎用されているナノ銀粒子を対象に、ナノ銀粒子の曝露が、細胞の機能変化へおよぼす影響を評価した。粒子径10、50、100 nmのナノ銀粒子(それぞれnAg10、nAg50、nAg100)および、銀イオン(Ag+)を、ヒト肺胞上皮細胞株(A549細胞)に3日間曝露させ、細胞形態、および細胞増殖能を評価した。まず、銀粒子を曝露させた後の細胞形態を光学顕微鏡により観察したところ、各群間で細胞形態に変化は認められなかった。次に、曝露3日後の細胞を回収し、BrdUアッセイにより細胞増殖能を評価した。その結果、Ag+曝露群の細胞増殖能が、未処置群と比較して、有意に低下することが認められた。一方で、nAg10、nAg50、nAg100曝露群において、対照群と比較し、細胞増殖能に変動を示す傾向が認められた。現在、銀粒子の曝露による炎症応答の惹起や細胞周期の変動におよぼす影響など、ナノ銀による細胞影響を様々な観点から精査している。さらに今後は、取り込み・蓄積・排泄といった、各銀粒子の細胞内動態を、誘導結合プラズマ質量分析計を用い、定量的に解析することで、動態と生体影響の発現との連関について追究していく予定である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524428160
  • NII論文ID
    130005468596
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_p-200
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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