マウスへのネオニコチノイド系農薬アセタミプリド単回曝露による遅発中枢影響の性差
書誌事項
- タイトル別名
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- Sex differences of delayed behavioral influence by pesticide Acetamiprid single exposure to mouse
説明
【目的】アセタミプリド (ACE) はネオニコチノイド系殺虫剤であり、昆虫のニコチン性アセチルコリン受容体 (nAChRs) へ選択的に結合し、神経の興奮とシナプス伝達の遮断を引き起こすことで殺虫活性を示す。しかし近年、ネオニコチノイドが哺乳類の神経システムにおいて毒性を誘導する可能性が相次いで報告されている。特にACEはラットのnAChRsに対し、ニコチンと同程度の影響を与えることが報告され、既存の考えより哺乳類のnAChRsを含む広範囲で影響することが示唆される。以上のことから、哺乳類の神経発達におけるネオニコチノイドの毒性研究およびデータの蓄積が急務である。本研究では性成熟後のマウスへのACE曝露が遅発性の行動影響を有するか、また性別によってその影響が異なるかについて検討を行った。<br>【方法】生後8週齢の雌雄のマウス (C57BL/6) にACEを50 mg/kg にて単回経口投与した(対照群は同量の溶媒(0.5 w/v%メチルセルロース)を投与)。11週齢に至るまで飼育管理し、オープンフィールド、明暗往来、恐怖条件付け学習記憶試験から構成される行動解析を行った。【結果】ACE投与による増体重量への影響はみられなかった。行動解析の結果、基本的な活動量は対照群と比較して有意な差は認められなかった。しかし、雌の投与群で情動関連行動の逸脱が、雄の投与群で学習記憶の低下がみられた。【考察】マウス成熟期におけるACE曝露は、認知および情動機能に遅発性の大きな影響を与え、それらの変化が単回曝露によって引き起こされることが明らかになった。また、ACE暴露による行動影響には雌雄差が存在することが示された。この結果から、ネオニコチノイド少なくともアセタミプリドに関しては、哺乳類への影響を検討する際、性別による影響の違いを考慮に入れる必要があると考えられる。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 41.1 (0), P-220-, 2014
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680524439168
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- NII論文ID
- 130005468616
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可