DPP-4阻害薬及びGLP-1受容体作動薬の非臨床・臨床試験における膵炎及び膵がんのリスク評価
-
- 福井 英夫
- 武田薬品(株) 薬剤安全性研究所
書誌事項
- タイトル別名
-
- No evidence of a risk of pancreatitis and pancreatic cancer in non-clinical and clinical studies of DPP-4 inhibitors and GLP-1 receptor agonists
説明
FDA及びEMAは2型糖尿病患者及び肥満患者におけるDPP-4阻害薬及びGLP-1受容体作動薬の膵炎及び膵がんに関するリスク評価を2013年3月から開始した。非臨床試験では、DPP-4阻害薬sitagliptin及びalogliptin、GLP-1受容体作動薬exenatide及びliraglutideのラット及びマウスを用いた2年間がん原性試験が実施されている。臨床用量での血中濃度と比較して、10~400倍の高い血中濃度が確保できる用量をラットあるいはマウスに2年間投与しても、いずれの上記化合物でも膵炎及び膵がんは認められなかった。また、イヌあるいはサルを用いた慢性毒性試験でも、臨床暴露量に対して5~500倍高い血中濃度を維持した状態で上記薬物を39~52週間投与しても、膵炎及び膵がんはみられなかった。FDAは上記化合物を含むインクレチン関連薬のGLP毒性試験のうち50試験を再解析した結果、ヒトへのリスクを示唆する明らかな膵毒性及び膵がんは認められなかったと2013年6月に報告した。臨床試験では、liragutideを投与した10,000例以上を精査したところ、急性膵炎及び膵がんの頻度増加は認められなかった。また、sitagliptinを12週間から2年間投与した患者(n=7726)とcomparator (n=6885)とを比較した結果、膵炎及び膵がんの発現頻度は同等であった。<br> 以上の結果から、現時点で非臨床・臨床試験のいずれにおいても、膵炎及び膵がんとインクレチン関連薬との関係を示す明確な証拠はない。現在、FDAはDPP-4阻害薬及びGLP-1受容体作動薬のCV outcome試験(最長投薬期間4年、症例数30,000人以上)をモニターしている。膵炎及び膵がんとインクレチン関連薬との因果関係については、2014年12月までにFDAから結論が出される予定である。
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 41.1 (0), S18-7-, 2014
日本毒性学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680524667648
-
- NII論文ID
- 130005468864
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可