HLAクラスⅡが関与するリンパ球活性化におけるXimelagatranの影響

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  • The effects of Ximelagatran treatment on the HLA class Ⅱ related lymphocyte activation

抄録

近年、重篤な特異体質性副作用である薬剤性肝障害やスティーブンス・ジョンソン症候群といった免疫系副作用の発症機序にHLAの特定のタイプとの強い関連が明らかになってきている。HLAクラスIと関連が疑われる薬物では、アバカビルを筆頭に広く研究されているが、HLAクラスIIと関連が報告されている薬物では報告は少ない。そこで、本研究では、クラスII に属するHLA-DRB1*07:01と結合するペプチド(Hirasawa et al. 2015)を用いて、リンパ球活性化評価系によりXimelagatranの影響を検討した。HLA-DRB1*07:01を持つヒト末梢血単核球(PBMC)を樹状細胞に分化誘導し、抗原提示細胞とした。この抗原提示細胞とPBMC、破傷風トキソイド由来のHLA-DRB1*07:01結合ペプチドを、T helper 1 (Th1)およびT helper 2 (Th2)への分化誘導条件下でXimelagatranと共に1週間(Th1分化誘導条件)、もしくは2週間(Th2分化誘導条件)共培養し、フローサイトメーターを用いて培養上清中に分泌されるサイトカインの定量およびTh1/Th2の細胞数を解析した。Th1分化誘導条件で共培養し、培養上清中のサイトカインとしてIFN-γ, IL-4, IL-5, IL-6を測定したところ、結合ペプチドの添加によってIFN-γの産生が増加し、Th1の細胞数も増加していた。また、Ximelagatranを添加したところ、IFN-γの産生がさらに増加した。しかし、濃度が一定以上になるとIFN-γの産生は減少した。同様に、Th2分化誘導条件で共培養すると結合ペプチドによってIL-5、IL-6の産生が増加し、Th2の細胞数も増加していた。また、Ximelagatranを添加したところIL-5やIL-6の産生は減少し、Th2の細胞数も減少していた。以上の結果から、Ximelagatran はTh2を抑制し、Th1による炎症性サイトカインの産生を促すことによって、肝障害の副作用を示す可能性が示唆された。また、Ximelagatranは一定濃度以上ではHLA-DRB1*07:01とペプチドの結合を阻害する可能性が示唆された。<br>Hirasawa M, Hagihara K, Okudaira N, Izumi T (2015) PLoS ONE 10(6): e0130928.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680524861184
  • NII論文ID
    130005260950
  • DOI
    10.14869/toxpt.43.1.0_p-88
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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