新規非受容体型チロシンキナーゼ阻害薬(トファシチニブ)の毒性プロファイル
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- 原田 拓真
- ファイザー(株) 非臨床開発研究部
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- Douglas J BALL
- DSRD Groton Laboratories, Pfizer Worldwide Research and Development
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- Thomas T KAWABATA
- DSRD Groton Laboratories, Pfizer Worldwide Research and Development
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- Christopher J BOWMAN
- DSRD Groton Laboratories, Pfizer Worldwide Research and Development
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- James D CLARK
- Cytokine Signaling, Immunology and Autoimmunity, Pfizer Research
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- Mark W VOGEL
- DSRD, Cambridge Massachusetts
書誌事項
- タイトル別名
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- Toxicity profile of tofacitinib citrate, a novel non-receptor tyrosine kinase inhibitors
抄録
トファシチニブクエン酸塩は,本邦初のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害作用を有する経口投与が可能な低分子の関節リウマチに対する分子標的治療薬として発売されている。また,本薬はJAKファミリーに高い選択性を示し,JAK1およびJAK3の阻害によりIL-2,IL-4,IL-7,IL-9,IL-15およびIL-21などのサイトカイン受容体を介したシグナル伝達を阻害し,関節リウマチにおけるリンパ球の活性化,増殖および機能発現に関与する免疫反応を抑制する。また,JAK1に対する阻害作用によりIL-6やⅠ型IFNなど他の炎症誘発性サイトカインを介したシグナル伝達も抑制する。<br>本薬のラットおよびサルにおける一般毒性試験では,循環血中のリンパ球数,ナチュラルキラー細胞数およびT細胞数の減少ならびにリンパ組織におけるリンパ球減少がみられ,JAK1およびJAK3阻害による免疫系および造血系への影響と考えられた。また,より高用量では赤血球パラメータの減少がみられ,JAK2阻害作用によると考えられた。これら免疫系や造血系への変化は休薬により回復または回復傾向を示した。<br>生殖発生毒性試験では,他の免疫抑制薬と同様に,ラットおよびウサギで催奇形性がみられた。また,ラット2年間がん原性試験において,良性ライディッヒ細胞腫や悪性褐色脂肪腫の発生頻度の増加が認められたが,検討の結果,良性ライディッヒ細胞腫はJAK阻害によりライディッヒ細胞でのプロラクチンシグナル伝達が阻害され,LH受容体発現低下,テストステロン合成低下に伴う持続的LH刺激がライディッヒ細胞の増殖を促進させていることを裏付けるデータを得た。また,褐色脂肪腫についても, JAK阻害が褐色脂肪組織の増殖を亢進させ,また,本薬による交感神経刺激亢進が褐色脂肪組織の増殖に関与している可能性が示唆された。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 41.1 (0), P-72-, 2014
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680524890368
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- NII論文ID
- 130005468751
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可