In silicoによる催不整脈作用予測の現状と今後

書誌事項

タイトル別名
  • In silico pro-arrhythmic prediction: current and future

説明

医薬品開発過程において薬剤誘発性の致死性不整脈(TdP: Torsade de Pointes)は、心室細動や心突然死を引き起こす重大な副作用であり、非臨床試験における催不整脈作用の予測は大きな課題となっている。現在、非臨床における予測法として、ICH S7Bガイドラインに基づくQT間隔延長のエンドポイントとして、hERGチャネル阻害試験、心電図(QT間隔延長)試験が行われている。しかしながら、QT間隔延長が必ずしも催不整脈作用の指標とはならないことから、催不整脈作用を的確に予測しうるより総合的な評価方法が望まれている。また、2013年7月にはFDAよりICH S7Bの改訂に関する提案が発表され、評価のエンドポイントをQT間隔延長作用から催不整脈作用に変更するとともに、新たなリスク評価法の1つとしてIn silico評価が提案されている。<br>数理心筋細胞モデルを用いたIn silico評価は、細胞、組織、臓器レベルでの様々な研究が行われており、近年、創薬研究においてもその重要性が認識されつつある。本発表では、創薬におけるIn silico活用の現状と期待について紹介する。特に創薬早期におけるHTS(ハイスループットスクリーニング)データを用いたIn silico評価について述べるとともに、数理心筋細胞モデルを用いた数学的解析の有用性について紹介し、In silicoによる催不整脈作用予測の現状と今後について議論したい。In silico評価はIn vitro実験やIn vivo実験から得られたデータの統合的な理解を深めるだけでなく、不整脈メカニズムの解明や臨床効果の予測にも有用なツールである。さらに、コンピューターシミュレーションの特性を生かした数学的解析法を用いた新たな評価ツールとしての可能性について、我々の研究成果を交えつつ報告する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525246592
  • NII論文ID
    130005468983
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_w8-3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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