特異体質性肝障害発現ポテンシャルの総合的リスク評価

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タイトル別名
  • Comprehensive risk assessment of potential for Idiosyncratic liver toxicity

抄録

【目的】特異体質性肝障害の発現機序の一つとして反応性代謝物の生成が考えられており、そのポテンシャル評価としてタンパク質への化合物の共有結合量測定が行われている。我々はこれまでに共有結合量に臨床用量を組み合わせることで毒性発現のリスク評価が可能であると報告してきた。一方、毒性の発現機序には複数の因子の関与が考えられることから、共有結合能のみならず、毒性等も加味した評価の必要性が近年指摘されている。そこで我々は共有結合能に各種in vitro毒性データ等を組合せた総合的リスク評価を実施し、その有用性について検討した。<br>【方法】ヒトにおける特異体質性肝障害のリスクからWDN (withdrawnおよびblack box warning)、WNG (warning)、SAFE (no warning) の3つのカテゴリーに分類した52化合物について1) ヒトミクロソームタンパク質への共有結合量、2) ラット肝細胞を用いた細胞毒性、3) ミトコンドリア亜粒子を用いたミトコンドリア毒性、4) 発現ベシクルを用いたbile salt export pump (BSEP) 阻害、5) logPの各評価を実施し、各評価結果をそれぞれスコア化した。<br>【結果及び考察】共有結合能だけでなく、各種in vitro毒性評価結果を組み合わせることで、毒性リスクと各評価項目のスコア合計との間に相関性が認められた。さらに、評価結果に化合物の生体内曝露を考慮すると、両者の相関性はより高くなることが示された。これら結果により、共有結合能に複数のin vitro毒性ポテンシャルを加味した総合評価は、特異体質性肝障害の発現ポテンシャルのリスク評価に有用であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525301760
  • NII論文ID
    130005468536
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_p-121
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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