亜ヒ酸によるペントースリン酸経路抑制機構の解析

DOI
  • 高橋 勉
    東北大学大学院薬学研究科 生体防御薬学分野
  • 磯 卓磨
    東北大学大学院薬学研究科 生体防御薬学分野
  • 黄 基旭
    東北大学大学院薬学研究科 生体防御薬学分野
  • 永沼 章
    東北大学大学院薬学研究科 生体防御薬学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Elucidation of molecular mechanism underlying suppression of pentose phosphate pathway by arsenite

抄録

これまでに我々は、出芽酵母において亜ヒ酸がペントースリン酸経路関連因子の発現を抑制することによって核酸合成を低下させ、その結果として細胞毒性を発揮している可能性を示唆してきた。本研究では、亜ヒ酸によるペントースリン酸経路関連因子の発現抑制機構について解析を行った。ペントースリン酸経路関連因子の発現調節に関わる可能性がある転写関連因子を酵母データベースで検索したところ、16種の転写関連因子が該当した。これら16種類をそれぞれ欠損させた酵母の亜ヒ酸感受性を検討したところ、7種が亜ヒ酸高感受性を示した。そこで、これら7種の転写関連因子の欠損がペントースリン酸経路関連因子の発現レベルに与える影響を定量PCRによって解析した。その結果、転写メディエーターであるGal11の欠損によってペントースリン酸経路関連因子の発現レベルが低下することが明らかになった。亜ヒ酸によって低下したペントースリン酸経路関連因子の発現レベルは、Gal11を欠損させてもほとんど影響を受けないことから、亜ヒ酸がGal11の機能を抑制している可能性が示唆された。我々は、Gal11と結合する転写因子として知られているMig1が亜ヒ酸毒性軽減作用も有することを明らかにしているが、今回の検討によりMig1の欠損がペントースリン酸経路関連因子の発現を抑制することも判明した。亜ヒ酸がMig1を不活性化することも確認していることから、亜ヒ酸はGal11およびMig1依存的な転写活性化機構を抑制することによって、ペントースリン酸経路を抑制して、細胞毒性を発揮している可能性が考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525380736
  • NII論文ID
    130005468647
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_p-184
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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