Situation of lead poisoning in raptors from Japan and source identification using lead stable isotope ratios

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  • 日本に生息する猛禽類の鉛汚染状況と鉛安定同位体比を指標とした汚染源の解明

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【はじめに】北海道では、猛禽類において鉛弾摂取による鉛中毒が問題となっている。現在は鉛弾の使用規制が設けられているものの、未だに被害個体が発見されている。また、本州など他地域でも鉛中毒個体が発見されているが、北海道を除く地域における汚染実態調査は極僅かであり、鉛弾使用規制も不十分である。そこで、本研究では北海道、本州、四国において死亡した猛禽類の鉛濃度と鉛安定同位体比を測定し、鉛汚染状況と汚染源の解明を試みた。<br>【方法】試料は、1993年から2014年に北海道、本州、四国で死亡したイヌワシ、トビ、オオワシ、オオタカ、フクロウ、オジロワシ、オオハヤブサ、クマタカ、サシバ、ハイタカ、ツミ、チョウゲンボウの計49個体の肝臓を採取し、誘導結合プラズマ質量分析計で鉛濃度と鉛安定同位体比(207Pb/206Pb、208Pb/206Pb)を分析した。<br>【結果と考察】本研究の結果、1999‐2014年に北海道で死亡した4羽のオオワシにおいて、鉛中毒が疑われる値(11.0-29.5 mg/kg、湿重量)が検出された。北海道では2004年に大型獣の狩猟における鉛弾使用が禁止されているが、2013、2014年に採取されたオオワシにおいても高濃度の鉛蓄積が検出され、このうち1羽からはレントゲン撮影と剖検で胃内に鉛弾の破片が認められた。また岩手県で死亡したイヌワシからも高濃度の鉛蓄積(2.0 mg/kg)が認められた。さらに鉛安定同位体比を分析した結果、高濃度の鉛蓄積個体の鉛安定同位体比の値が同程度であった。このうち1羽から鉛弾が検出されたことを考慮すると、これらの高濃度蓄積個体の汚染源は鉛ライフル弾であると考えられた。<br> 上記の結果から、猛禽類の鉛弾摂取による中毒が未だに問題となっていることが明らかとなった。従って、北海道以外の地域における調査、また日本全国における鉛弾流通の完全禁止など規制強化の検討が必要であると考えられた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525391872
  • NII Article ID
    130005468660
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_p-188
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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