診療情報明細書情報に基づく安全性対策効果検証の取り組み: 炭酸リチウムの適正使用に関する事例を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • Approaches to the evaluation of safety warnings using claim database

説明

現在、医療に関わる大規模情報の利活用は、医薬品を安全に使用するために今後ますます重要性が高まるとされている。厚生労働省やPMDAはより効果的な安全性対策のため、さまざまな医療情報データベース構築事業を実施し、試行期間の終了とともに、順次、公益性の高い研究課題への利活用の推進に移行しつつある。これらの大規模医療情報は疫学的手法と情報技術によって抽出・解析され、医薬品等の安全対策とその効果検証や、医療の質向上にも広く役立てられつつある。また、我が国の課題解決のため、厚生労働科学研究の戦略研究においては、これまでの大規模介入研究とは異なる「健康医療分野における大規模データの分析及び基盤整備に関する研究」課題が採択され、国民や行政の大規模医療データの利活用に対する期待を映している。<br>現在、我々は健保組合の提供する診療報明細書情報を用いて、医療安全対策の効果について解析を行っており、その1例を紹介する。<br>炭酸リチウムは躁病や躁状態の治療に用いられるが、リチウムの血中濃度上昇によってリチウム中毒を引き起こすことが知られている。そのため、定期的なリチウム血中濃度の測定が求められている。しかし、PMDAが2005~2010年のレセプトデータをもとに調査した結果、炭酸リチウムの処方を受けた患者のうち、1度もリチウムの血中濃度測定を実施していない患者の割合が52 %である可能性が示された。この結果を受け、PMDAは2012年9月に炭酸リチウムの血中濃度測定遵守について通知を発出した。しかし、臨床で炭酸リチウムの適正使用が客観的に改善したのかは検証されていない。<br>そこで、本研究では、安全性対策が実施された効果について、炭酸リチウムの血中濃度測定実施割合を1つの指標として、安全対策前後での変化を明らかにすることにより、今後のさらに効果的な安全性対策に資するエビデンスを発信することを目的としている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525618560
  • NII論文ID
    130005483734
  • DOI
    10.14869/toxpt.42.1.0_s2-5
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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