炎症応答を制御する新たなユビキチン・シグナル

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タイトル別名
  • Quantitative analysis of the ubiquitin signal in NF-κB regulation

抄録

ユビキチンを介するシグナル伝達は、様々な化学物質や環境ストレスに対する応答に関与することが知られている。NF-κBは二量体型の転写因子であり、IL-1βやTNFα等の炎症性サイトカインの他、LPS等の細菌由来化合物、酸化ストレス、化学物質や照射によるDNA損傷、など種々の細胞外刺激によって活性化する。活性化したNF-κBは標的遺伝子の発現誘導により炎症反応を惹起し、急性・慢性炎症や細胞増殖・生存を制御する他、様々な毒性発現にも関与する。炎症シグナルの活性化分子機構においてはユビキチンが中心的役割の一端を担う。ユビキチンは異なる構造のユビキチン鎖として機能し、炎症シグナルにおいてはK63連結ユビキチン鎖(K63鎖)、M1鎖、K48鎖がそれぞれ異なる機能を発揮する。私達はシグナル伝達を担う新たなユビキチン鎖を探索し、最近、枝分かれした(分岐型)ユビキチン鎖が炎症シグナルに関与することを見出した。定量プロテオミクス技術を用いた定量的な解析により、K48とK63で分岐したユビキチン鎖がIL-1β依存的に生成され、ユビキチン鎖を安定化することで、最終的にNF-κBを活性化することが明らかとなった。今後、毒性を仲介するシグナル伝達への関与や、個体レベルでの解析は興味深い課題である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680525633280
  • NII論文ID
    130006582299
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_s11-3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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